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2014年3月25日

Haptics Symposium 2014 参加報告

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|◆ Haptics Symposium 2014
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橋口 哲志(立命館大学)

 Haptics Symposium 2014は,米国Houston,Double Tree by Hilton Hotel Hou
ston Downtown にて開催された.本会議は,他の触覚研究の国際会議(IEEE WHC,
EuroHaptics)と同様に隔年で開催されている.全参加者は250名程度,投稿
論文の総数は158件で,ポスター発表を含め106件(67%)が採択された.内訳
は,41件(26%)が口頭発表,ポスター発表が65件であった.デモ展示のみでの
発表は49件であったが,口頭発表,ポスター発表と同時に行ったデモ展示数を合
わせると総数で99件にも及んだ.多くの国内外の触覚研究を実体験できるよい機
会となった.
 スケジュールは,初日がWorkshops and Tutorials,Welcome Receptionのみ
で,のち全日程がシングルセッションで組まれていた.Oral Sessionは,Finger
tipContact and Human Hands,Tactile Perception and Display,Dynamic Mode
lingand Haptic Rendering,Human Motor Learning and Movement,Control for
Virtual and Remote Interactions, Expression and Communicationの6つに分け
られていた.ポスター発表やデモ展示のコアタイムがシングルセッション内の時
間に組み込まれていたので,口頭発表の内容をデモ展示で実体験できるようにな
っていた.
 基調講演はDavid Eagleman氏とSile O’Modhrain氏の2名であった.David Ea
gleman氏は,神経科学者で時間知覚,共感覚に関してニューヨーク・タイムズで
ベストセラーとなった著者である.本講演では重度聴覚障害者のための振動触覚
感覚代行器として,キャプチャした聴覚情報を小型の振動モータを使用して胴体
の皮膚に送達される「vibratory vest」が紹介された.
 Sile O’Modhrain氏は,ミシガン大学で音楽,演劇とダンスなどの芸術技術分
野の教授である.同氏は特に人間とコンピュータの相互作用に焦点を当て,触覚
と聴覚フィードバックを取り入れたインタフェースに関する研究に携わっている.
本講演では視覚障害者に有形情報を提示するための設計プロセスとして,感覚代
行,意味解釈,情報提示のカテゴリー間に関する話であった.Best Paper Award
はJoseph Brink(University of Utah)らの”Factors Affecting the Design of
UntetheredMagnetic Haptic Interfaces”が,Best Student Paper AwardはZhan
Fan Quek(Stanford University)らの”Sensory Substitution using 3-Degree-
of-Freedom Tangential and Normal Skin Deformation Feedback”,Best Poster
AwardはClemens Schuwerk(Technische Universitat Munchen)らの”Delay Com
pensation in Shared Haptic Virtual Environments”,Best Demo AwardはLope
Ben Porquis(Tohoku University)らの”Presenting Virtual Stiffness with
Suction Pressure”がそれぞれ受賞した.
 今後の触覚系の会議は,EuroHaptics 2014(June 24-27 in Versailles),Asia
Haptics 2014(November 18-20 in Tsukuba),World Haptics Conference 20
15(June 21-24 in Chicago)と続き,隔年開催のHaptics Symposium 2016はPh
iladelphiaで開催ことが発表された.
 触覚研究は口頭発表やポスター発表では伝えにくい部分があり,本国際会議に
おいてもデモ展示の件数が非常に多くなってきている.そこで,Asia Haptics 2
014は,つくば国際会議場で今年初めて開催され,デモンストレーションを中心
としたプレゼンテーション形式となるので楽しみである.
【公式サイト】
http://2014.hapticssymposium.org/

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