Augmented Human 2013 参加報告
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|◆ Augmented Human 2013 参加報告
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蜂須拓(電気通信大学)
2013年3月8日と9日の2日間,人間の能力拡張あるいは人間を取り巻く環境の拡張
に関する国際会議Augmented Human 2013がドイツのStuttgartにて開催された.
Stuttgartはドイツの南部に位置し,新旧宮殿などの中世の面影を有しながらも近
代的な美術館や博物館をもつ都市である.南ドイツ第二の都市とも言われる町の雰
囲気は繁華街では多くの人で賑わう一方でホテル街はとても静かで落ち着いた雰囲
気であった.
本会議の発表件数は口頭発表38件,デモ・ポスタ発表10件であった.開催地ドイ
ツからの参加者が多数見られたが,日本からの参加者がそれを上回り,本分野での
我が国の盛況ぶりを反映していた.
基調講演はウェアラブルコンピューティングの権威,Thad Starner氏(ジョージ
ア工科大学)によるものであった.Starner氏はGoogle’s Project Glassの技術顧
問でもあり,実際にそのプロジェクタ付眼鏡を掛けた外見からは近未来を想像させ
られた.講演はウェアラブルコンピュータ台頭の歴史の概説から始まり,その潜在
的な問題点,それを克服するための設計論をStarner氏の過去および現在進行形の
プロジェクトを交えながら行われた.その中でも著者が個人的に最も印象に残った
プロジェクトがMobile Music Touchであった.MMTはグローブの各指に内蔵された
振動子より,例えばピアノを弾く場面で,どの指でどの鍵盤を押すかを教示するシ
ステムである.著者は一見そのようなシステムでの教示は難しいのではと思ったが,
Muscle Memory(筋肉が振動を記憶して運動を覚える)という語句を使った説明は
とても説得力があった.全体を通してStarner氏の講演はユーモアあふれるもので
あり,質疑応答も含めて聴衆からはしばしば頷きの動作が見られたり,時として笑
いが起きたりと聴衆の興味をつかんで放さない非常に魅力的なものであった.
Best Paper Awardには眼鏡に取り付けられたフォトセンサよりユーザの表情の変
位を計測し,笑顔検出する”A Smile/Laughter Recognition Mechanism for Smile-
based Life Logging”(K. Fukumoto, et al., Kobe University)が選出された.
その他の発表ではユーザの脳活動を計測し潜在的な嗜好を検出する提案,指先に取
り付けたカメラから実世界のテクスチャや色を取り込みタブレット上のお絵かきソ
フトに適用したり視覚障害者に色を提示したりするシステム,前腕の皮膚変形を利
用した入力システム等があり,非常に幅広い研究成果報告が公聴できた.またデモ
・ポスタセッションにおいても研究者間の有意義な意見交換が行われた.
なお,Augmented Human 2014は開催地を再び日本に戻し,兵庫県神戸大学にて開
催される予定である.多くの海外からの参加者を期待すると共に,本分野での我が
国の更なる発展を期待したい.
公式サイトURL: http://www.hcilab.org/ah2013/
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