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2012年8月27日

SIGGRAPH2012 Emerging Technologies 参加報告

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|◆ SIGGRAPH2012 Emerging Technologies 参加報告
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安 謙太郎(慶應義塾大学)

 SIGGRAPH2012は2012年8月5日から9日の5日間に渡りアメリカはカリフォルニア州
ロサンゼルス,Convention Centerにて開かれた.本開催地でSIGGRAPHが行われる
のは2010年からの2年ぶりになる.
 SIGGRAPHとはコンピュータ・グラフィックスおよびインタラクティブ技術に関す
る国際会議であるが,同時に同分野に関する企業,研究者,技術者に加え,CGアー
ティスト,アニメーター,ゲームデザイナー,メディアアーティストらも一堂に会
する祭典でもあり,毎年大勢の多様な参加者で賑わうことで知られている.
 中でもEmerging Technologies(以下E-tech)は毎年同分野における最新研究の
デモが開催期間中,常に触れることが出来る形式で展示されており,大勢の参加者
がそれらを体験しに訪れる.参加者からすれば自らが体験者となり最新のインタラ
クティブ技術に触れられる素晴らしい機会であるが,出展者からしてみれば5日間
という長い開催期間中,常に,また大勢の参加者に対してわかりやすく,かつ魅力
的なデモを行える状態に保つことが要求されるという試練でもある.E-techにおい
て自らの研究成果を多くの人に直接体験してもらい,よいフィードバックを得るた
めには,事前の準備とデモのデザイン,会期中の整備などは欠かせない.
 今年のE-tech展示発表は26件であり,うち日本からは半数の13件,映像に新たな
インタラクションの可能性を付与する“SplashDisplay”や“ClaytricSurface”,
手書きの五線譜による演奏を可能にする“Gocen”,東工大の芯までやわらかいぬ
いぐるみロボット“Stuffed Toys Alive! Cuddly Robots From a Fantasy World”
など五感や物理的な動きをインタラクションの中心に据えた展示は例年通りの強い
存在感を示していた.中でも,会場に設置された等身大のロボットと体験者の間で
姿勢および視覚,聴覚,さらに触覚も伝送することのできる慶大のテレイグジスタ
ンスロボット“TELESAR V”は注目を集めていた.
 また自らの手を腕に取り付けた電極によって操作される感覚を味わえる東大の
“PossessedHand”や静電気力を用いて腕の毛を逆立てることで驚きを拡張すると
いう電通大の“Chilly Chair”,視覚情報を操作することによる触錯覚を利用した
“Magic Pot”など人間の身体や感覚のハックをテーマとする展示が異彩を放って
おり,今後の可能性を感じさせた.
 海外からはE-tech常連であるMIT Media Labが2件であるのに対しDisney
Researchからの発表が3件あり,こちらも存在感を示していた.特にDisney
Researchからの展示のひとつである“Botanicus Interacticus: Interactive
Plants Technology”は植物に対し人間がどの位置にどのように触れているかを正
確に検出することができるものであるが,これは同年に開かれたCHI2012にてBest
Paper Awardを受賞した“Touché”の技術を応用したものであるためか,高い注目
を集めていた.
 またCity University of Hong Kong(香港)やSeoul National University
(韓国),Institute for Infocomm Research(シンガポール)からの発表も合計
で4件あり,SIGGRAPH Asiaの影響か日本だけでなくアジア勢全体が伸びてきている
という印象を感じることができた.

  ( SIGGRAPH2012: http://s2012.siggraph.org )

siggraph2012 E-tech

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