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2012年6月28日

IMRF2012 参加報告

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|◆ IMRF 2012 参加報告
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北崎充晃(豊橋技術科学大学)

 2012年6月19日から22日にかけて,IMRF 2012が英国オックスフォードで開催さ
れた.IMRFは,International Multisensory Research Forumという小規模な国
際会議であり,多感覚・複合感覚認知を対象とする稀有な学会である.この学会
に参加することが,多感覚・複合感覚研究の最先端を知る最有力手段と言える.
参加する研究者は,知覚心理学者が最も多く,ついでVRを中心とした工学系研究
者,認知神経科学者の順である.今年は,開催13回目にあたり,210件の発表が
あり,参加者は約240名(日本からの参加者は4%)であった.会期4日全てがシン
グルセッションで行われ,口頭発表,シンポジウム,ポスター発表がバランスよ
く配置された.基調講演は,急遽参加できなくなった英国女王の代理として(と
おそらくジョークとして急遽10日前に告知された)Caltechの下條信輔教授が
「Crossmodal Interactions: Shooting “Hidden Assumptions”」と題して行っ
た.そこでは,ダブルフラッシュ錯視(2つの音を1つのフラッシュと同時提示す
ると2つのフラッシュが知覚される現象)を含む多数の自らの研究・デモを5つの
仮説の確証と反証と捉えて理論的な説明が行われた.この領域で,最近注目され
ているのは,通常の人の認知に潜む共感覚的な認知(丸い図形と尖った図形に
ブーバあるいはキキと名前を対応させると,ほとんどの人が丸い図形をブーバ,
尖った図形をキキと名付けるブーバ・キキ効果等)や多感覚身体認知(隠された
自分の手と見えているゴム手袋を同時に筆で触るとゴム手袋が自分の手に感じら
れるラバーハンド錯覚等)だろう.本会議でも関連して,言語的複合感覚セッ
ション,共感覚シンポジウム,身体表象セッションが行われた.また,多感覚間
の同時性の知覚が,順応によって非常にフレキシブルに変化することも興味深
い.母体となる学会を持たない国際会議であり,研究者なら誰でも参加しやす
い.なお,来年はイスラエルのエルサレムにて6月初めに開催予定である.詳細
は,http://imrf.mcmaster.ca/IMRF/ にあり,過去の発表題目や要約も閲覧でき
る.

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