EuroHaptics2012 参加報告
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|◆ EuroHaptics 2012 参加報告
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岡崎龍太 (電気通信大学)
2012年6月12日(火)〜15日(金)の4日間に渡り,フィンランド・タンペレに於い
てEuroHaptics Conference 2012が開催された.EuroHaptics Conferenceは今回
12回目の開催を数え,触覚分野では最高峰の学会の一つとされる.本会議の特徴
として,エンタテインメント・心理・制御・デバイスなど,触覚に関わる様々な
分野が一堂に会して発表を行うということが挙げられる.日本人の参加率も極め
て高く,今回は地元フィンランド人についで2番目に多く参加していた.
開催地であるタンペレはフィンランドの首都ヘルシンキからバスで2時間,北
と南に大きな湖を持つ小さな町である.会場となったホテルは湖畔に位置し,季
節柄ほぼ白夜であったことも相まって,我々の持つ北欧のイメージをそのまま体
現したような素晴らしい場所であった.また近くには北欧携帯電話メーカNokia
の本拠地が有り,General Chairをはじめ多くのNokia関係者が学会の運営,発表
に参加していることも印象に残った.
会議初日はTECHTILE toolkitのワークショップがあり,残りの3日間を通して
ポスタ・デモ・登壇発表・Keynoteが行われた.今回発表された中で興味深かっ
たものとして以下が挙げられる.
・Tradeoffs in the Application of Time-Reversed Acoustics to Tactile
Stimulation (登壇) 板周囲に取り付けた振動子の振動の反響を記録・再生する
ことで,任意の場所への振動提示を行うことができる.
・Combining Brain-Computer Interfaces and Haptics: Detecting Mental
Workload to Adapt Haptic Assistance (登壇) 触覚による補助をBrain
Computer Interface (BCI)と併せて用いる手法.BCIによる計測を元に,ユーザ
の心理的負担が大きい時のみ触覚による補助を行う.
・Multi-contact Vacuum-driven Tactile Display for Representing Forces
Acting on Grasped Objects (デモ・ポスタ)ペン型のデバイスを2本の指で把持
し,把持部に開いた穴から指を吸引することで前後・左右・上下に擬似的な力覚
を生じさせるデバイス.
・The Design of Everyday Computational Things: Why Industrial Design is
the New Interaction Design (Keynote) カナダ・クイーンズ大学 Human Media
LabのRoel Vertegaal氏による講演.従来の変形しない”リジッド”なディスプ
レイに変わり,形自体が意味を持ち,自由に変形することで触覚を生み出すディ
スプレの未来について語った.
会期中は発表・Keynoteだけでなく,毎晩趣向を凝らしたSocial eventが開催
された.特に3日目に開催されたバンケットは,クルーズ船に乗って湖の小島に
行き,そこでのワインテイスティング大会・BBQ・主催者による寸劇など,北欧
の風土とホスピタリティを十分に感じさせる内容であった.
余談ではあるが,会議には著者が昨年留学したパリ第六大学 Vincent Hayward
研究室のメンバも参加しており,半年ぶりの再会を果たした.国際学会の醍醐味
は世界中の一流研究者の研究を肌で感じることにあるが,学会を通じて世界の学
友と再会できることも大きなメリットだと感じる経験であった.
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