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2025年3月25日

ICAT-EGVE 2024

廣瀬 修也(豊橋技術科学大学)
 ICAT-EGVE 2024(the joint 34th International Conference on Artificial Reality and Telexistence & the 29th Eurographics Symposium on Virtual Environments)は,2024 年 12月1日から12月3日の3日間にわたり,筑波大学にて開催された.本会議は,人工現実感やバーチャル環境,テレイグジスタンスに関する世界的な研究成果を発表し議論する場として位置付けられており,今年で12回目の開催となる.今年のICAT-EGVEでは,基調講演が3件,論文発表が26件,ポスター発表が25件,デモ展示9件に加え,テクニカルツアーが行われた.
 Best Paper Award に選ばれたのは,Mühlenbrock らによる「BlendPCR: Seamless and Efficient Rendering of Dynamic Point Clouds captured by Multiple RGB-DCameras」だった.本研究では,マルチカメラを用いた連続的なレンダリング手法「BlendPCR」が提案された.提案手法の評価では,高解像度のカラーテクスチャを用いた場合,ポイントクラウドのアップロードにかかる時間が 29.2ms,解像度 3580 × 2066 でのレンダリング時間が3.2ms であり,リアルタイムでのVRアプリケーションに適していることが示された.Best Poster Award に選ばれたのは,大山らによる「Evaluation of a Concept of DevelopingDaily Experience Database Using Virtual Proof-of-Concept Experiment in Shopping UseCase」であった.本研究は,VR空間を用いて認知・行動データを分析するものであり,それらを実空間との共通データベースとして用いる概念が提案された.Best Demo Award に選ばれたのは,添野らによる「An Examination of 2-axis DistributionMethod for Pseudo 6-axis Motion Rendering with a Rolling Two-Axis Motion Base」だった.本研究では,Unity上で動く物体の6軸モーションを2軸に置き換えて表現する方法が提案された.これにより,複数のアクチュエーターを用いることによる複雑化や高コスト化の問題に対し,少ない軸数で効果的なVR体験を提供することを目指している.筆者はポスターセッションにて,「Embodiment from Virtual Hands-and-Feet Movementsduring Walking」という,手足のみのアバターがスクランブル化された状態における透明身体感に関する発表を行った.発表自体には特に問題はなかったものの,質問を受けた際に聞き取れない箇所や,詳細に回答できない場面が多々あった.今回の経験を通じて,国際的な場での発表における心構えを見つめ直す必要があると実感した.2 日の夜には Banquet が開催され,様々な分野で活躍される先生方や他大学の学生と交流を深めることができた.楽しみながら意見を交換できる貴重な機会となった.次回の ICAT-EGVE 2025 は,2025年12月1日から3日にかけてスウェーデンにて開催される予定である.
 公式サイト:https://icat.vrsj.org/2024/

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