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2025年2月25日

SIGGRAPH Asia 2024

山村 浩穂(慶應義塾大学)

 ACM SIGGRAPH Asia 2024は,2024年12月3日から12月6日にかけて日本の東京国際フォーラムで開催された.SIGGRAPH Asiaはコンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術に関するアジア太平洋地域における国際会議・展示会である.

 筆者は,会議2日目から4日目にかけて開催されたXRデモで,髪の毛を介した触覚フィードバックによってバーチャルな猫耳の所有感生起を試みるデモを展示した.多数の参加者に体験してもらい,猫耳の身体感覚に関する議論を交わせたことは大きな収穫であった.また,他の展示ではVirtual Reality(VR)からAugmented Reality(AR),Mixed Reality(MR)といった多様な体験が提供され,新しい研究アイデアの刺激を受けた.

 Emerging TechnologiesのAudience Choice: Best Demo Awardに選出されたGuoらの「Paranormal Phenomenon Visual Experience through Binocular Rivalry in Virtual Reality」を体験した.本デモでは,Head-mounted display(HMD)の左右の目に異なる映像を提示することで,両眼視野闘争(Binocular Rivalry)を引き起こすユニークな視覚提示手法を提供していた.また,XRのBest Demo in Show Awardに選出されたLiuらの「Petroller: Altering the Virtual Reality Controller with an Attachable Prop-based Haptic for Embodied Virtual Companion」を体験した.本デモでは実空間で人形を抱きしめたり,耳や手を引っ張ることで,VR空間のバーチャルペットとの触覚フィードバックを伴うインタラクションを提供していた.人形内部にはVRコントローラーが取り付けられており,釣り糸などの機構から構成され,追加の電子部品を必要としないという特徴がある.

 その他のAwardは,Emerging TechnologiesではBest Student Demo in Show AwardにErelらの「Casper DPM: Cascaded Perceptual Dynamic Projection Mapping onto Hands」,Best Demo in Show AwardにHirao&Hashimotoの「A Demonstration of Selfrionette: A Force-Input Controller for Continuous Full-Body Avatar Manipulation and Enhanced Virtual Haptics」が選出された.XRではAudience Choice: Theater Experience AwardにGuoらの「Magic You」,Best Theater Experience in Show AwardにZarei&Jeppesenの「A Vocal Landscape」,Audience Choice: Best Demo AwardにKimuraらの「Into the Womb -I want to be born again-」が選出された.

 次回のACM SIGGRAPH Asia2025は2025年12月15日から12月18日にかけて香港のHong Kong Convention and Exhibition Centreで開催される予定である.

ACM SIGGRAPH Asia2024 公式サイト https://asia.siggraph.org/2024/

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