HCI International 2024
伊藤 研一郎(東京大学)
2024年6月29日から7月4日にかけ,アメリカ合衆国のワシントンD.Cにて International Conference on Human-Computer Interaction 2024 (HCII2024)が 開催された.69カ国から2316名(オンライン1441名,現地875名)が参加し, 1525本の論文(内257本はLate Breaking Work)と415本のポスター(内106本は Late Breaking Work ) が290のセッション(オンライン139セッション,ハイブリ ッド151セッション)で発表された.前回のスケジュールを踏襲し,前半3日間は オンラインのみの口頭発表と合計18のTutorialsとWorkshopsが行われ,後半3日間 はハイブリッドでの口頭発表および現地のみのポスター発表も行われた.口頭発表 は「Zoom」会議を内包した大人数での会議をサポートする「Whova」プラットフ ォームで行われ,オンライン参加および現地参加者の双方が参加しやすい会議体を 実現している.オープニングセレモニーではWorld Usability Initiative 2023 Design Challengeの授賞式,Student Design Competitionの授賞式,21本のBest Paper Awardsの授賞式が行われた.その後,HCI Medal for Societal Impactの受賞および キーノートスピーチが行われ,Association for Computing Machinery (ACM)の 元President,現在はACMの女性初CEOを務めるVicki Hanson氏が『Technological Change for Improving Accessibility』を講演した. 筆者は超高齢社会のVR活用研究委員会と関連深いHuman Aspects of IT for the Aged Population (ITAP)領域でオーガナイズ・セッション「Senior Cloud and Active Aging」を主催し,5件の発表の座長を務めた.3件のバーチャル発表と2件の現地発 表より構成された本セッションは,Best Paperを受賞したDavid Frohlich教授(サリー 大学, イギリス)による口頭発表を始め,質の高い発表とディスカッションが行われた. ディスカッションはセッション時間内に納まらずセッション終了後に現地参加者らで その場で議論が白熱し,現地発表ならではの良さを体現しつつも,このようなセッシ ョンの合間の休憩時間で行われるディスカッションはオンラインには反映されないた め,ハイブリッド開催の限界を感じることとなった. 次回のHCII2025は6月22日から6月27日にかけて,スウェーデンのヨーテボリで開催 予定であり,今年の投稿締切などのスケジュールは例年より少し早く進行する見込み である.また,HCIIでは最大$1,000の賞金付きのStudent Design Competitionの主催 (ポスター,口頭発表の内容で投稿可能)や,最大$1,250の賞金付きのWorld Usability Initiative Design Challengeの後援を行っているので,研究発表にあわせてコンペティ ションへの挑戦の検討が行われることを期待している.