ロボティクス・メカトロニクス講演会 2024
青木 淳(筑波大学)
2024年5月29日から6月1日にかけて,栃木県宇都宮市のライトキューブ宇都宮にてロボティクス・メカトロニクス講演会2024(以下ROBOMECH)が開催された.ROBOMECHは自律移動ロボットやソフトロボティクスから,感覚や運動の計測,触覚・感覚インタフェースの研究など,様々な領域の研究発表があることが特徴である.初日にはオンライン及びオンサイトで様々なシンポジウムやワークショップ,技術に関するチュートリアルが開催され,後の二日間でポスター・デモ発表が行われた.ポスター・デモ発表は75件のOS(オーガナイズド・セッション)に分けられ,発表件数は合計で1,132件であった.会場周辺のオープンスペースでは,ロボットが動かせる場が提供され,ロボットのデモや企業からのユニークなロボットの展示がされた.対面での開催のため,ポスター発表においても,実機を動作させている発表が多くみられ,対面ならではの利点を感じることができた.中でも,日本信号株式会社の多機能鉄道重機では,人よりも数倍の大きさの上半身型ロボットを遠隔操作する展示がされた.人からオブジェクトをロボットに手渡しする操作がされており,巨大なロボットが低遅延で動いている様子に圧倒された.
筆者が参加したVR・ARとインタフェースのセッションでは,遠隔ロボットのインタフェースやVR環境でのモビリティに着目した研究などが紹介された.その他にも第3の腕や触覚・力覚に関する発表や実機が多くみられた.筆者は視覚情報の変更によって小児の身体性を再現するデモを発表と合わせて実施した.発表だけではなく,デモを体験してもらうことで身体が変容するような不思議な感覚を体験者に伝えることができた.また,全てポスターでの発表であるため,参加者と深い議論やフィードバックが得られる点が魅力であると感じた.
最後に発表,審査,スポンサー企業など本講演会の開催でご協力いただきましたすべての皆様に謝意を表したい.次回のROBOMECHは山形にて開催される予定である.