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2024年7月25日

HCI・MVE・EC・VR・SIGDeMO・ITE連催研究会

上堀まい(青山学院大学)

情報処理学会ヒューマンコンピュータインタラクション研究会が主催し,日本バーチャルリアリティ学会, 映像情報メディア学会,ヒューマンインフォメーション研究会 (HI) ,情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会,電子情報通信学メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会との共催であるヒューマンインタフェース学会のデバイスメディア指向ユーザインタフェース研究会(SIGDeMO)が2024年6月6日から6月7日にかけて開催された.本研究会のテーマは,「人工現実感,エンタテインメント,メディアエクスペリエンス」で,仮想環境の基礎的な内容からユーザインタフェース,ユーザエクスペリエンス,エンタテイン
メントに関する研究成果発表を行う場である.
筆者は本研究会において「環境音提示による食事の印象・価値変化の調査」という題目で,複数の飲食店の環境音(BGMや調理の音,周囲の人の声を含む音)が食事の印象や価値に与える影響について発表した.質疑では,実験条件や結果に関する質問に加え,今後の展望として孤食環境の改善に向けた手法に関する質問も受け,有
意義な意見交換を実施できた.また,セッション後にも技術の応用に向けた議論ができ,合同研究会ならではの貴重な経験となった.興味深かった発表は穂積ら(はこだて未来大)による「導電糸を活用した組紐型タンジブル・インタフェースの基礎検討」である.この発表では,古代から多様な目的に利用されてきた紐に注目し,複数の細い紐を組み上げることで柔軟性と強度を持つ組紐に,導電糸を組み込むことで,センシング機能を搭載した組紐型デバイスを提案していた.実験では,導電糸と非導電糸を組み合わせて3種類の導電組紐を作成し,引張や結び目の位置,結んだ回数による抵抗値の変化を測定した.その結果,導電糸の本数や配置パターンなどの組み方によって,引張の抵抗値が変化するため,用途に応じてセンサや導線として使い分けられることが考察されていた.他にも,導電組紐は引張の影響を受けにくい方が結ぶ位置を検出するセンサに適していることや,組み方によって結んだ回数を測定するセンサとして利用できることが明らかになっていた.応用例として,導電糸を組み込んで抵抗値を計測することで伸縮を検出するセンサや,静電容量を検出することでタッチセンサとしての利用が期待できる.他にも,光ファイバを組み込み,光の透過率を計測することで組紐の曲げや結びといった形状を検出できる可能性がある.
本研究会は2024年9月26日と27日の二日間に次回の開催が決定されており,利尻富士町の総合交流促進施設「りぷら」での開催が予定されている.

公式サイト:https://jp.his.gr.jp/category/sig-meeting/sigdemo/

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