HCII2023
野﨑 颯人(立命館大学大学院)
2023年7月23日(日)から28日(金)にかけて,デンマークのコペンハーゲンに
てInternational Conference on Human-Computer Interaction 2023 (HCII2
023)が開催された.77カ国から2807名(オンライン1539名,現地1268名)が
参加し,1835本の論文(内257本はLate Breaking Work)と522本のポスター
(内123本はLate Breaking Work )が352のセッションで発表された.前半の3
日間はオンラインのみの論文発表と並行してTutorialsとWorkshopsが行われ,
後半3日間はオンラインに加えて現地での論文発表とポスター発表も行われた.
各セッションの発表では,大人数での会議をサポートする「Whova」と「Zoo
m」の2つのプラットフォームを組み合わせた発表環境が整備されており,現
地と遠隔の発表者とのスムーズなやりとりが実現されていた.また最終日に
は,現地のみで初の試みとなるDesign Caféが開催された.本イベントでは,
HCIに関連する創造性とインスピレーションを高め,革新的な実践アプローチ
を促進することを目的とし,少人数制の議論の場が提供された.
オープニングセレモニーでは21本のBest paper awardsが発表され,オープニ
ングキーノートには,カーネギーメロン大学のSara Kiesler教授が招かれた.
教授は”Research Challenges to Humanizing Cyberspace”というタイトル
で,ネット上での嫌がらせやいじめ,プライバシーの侵害や詐欺などのグロ
ーバルなサイバースペースにおける脅威や被害について紹介した.今や我々
の日常に欠かせない存在となったネット上でのコミュニケーションに対して,
誤った情報・言動に対する警戒の重要さを再確認した.
論文発表として,筆者は”Gesture-based interaction”のセッションで,筋
電位計測を用いた力の入力が,力の制御精度と作業負荷に与える影響の分析
について発表を行った.セッション内ではオンラインと現地のそれぞれから
発表と質疑応答が活発に行われ,今までにない柔軟な議論の体制が整ってい
たと実感した.また筆者は,現地に赴いての学会参加自体が初めてであった
ため,研究者が自由に話し合う会場の雰囲気や他のセッションを訪れる気軽
さなどを実感し,現地参加の良い点に直接触れることができた貴重な機会と
なった.
次回のHCII2024は6月29日から7月4日にかけて,アメリカ合衆国の首都である
ワシントンD.C.で開催予定である.HCII2023で導入された現地とオンライン
を繋ぐ新体制は,発表者と公聴者双方に大きな利点があり,快適さと利便さ
を兼ね備えていると実感したため,今後の新たな会議のあり方として検討さ
れることを強く願う.
公式サイト:https://2023.hci.international/index.html
Category: 学会参加報告