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2023年2月26日

IDW 2022

高橋 宏輔(徳島大学)

 The 29th International Display Workshops (以降IDW’22)は2022年12月14日(水)から12月16日(金)の3日間に渡り開催された.昨年のIDW’21異なり,3年ぶりの現地開催となり,福岡県の福岡国際会議場にて開催された.ディスプレイの表示技術やその応用において研究成果やデモンストレーションを共有し,交流を深める国際会議である.様々なワークショップから構成されており,口頭発表とポスター発表から構成されている.本会議では基調講演3件,招待講演147件,口頭発表95件,ポスター発表103件を含む348件の論文が発表された.また,施設内会場とメタバース会場にてディスプレイ関連の企業や大学による展示がワークショップと並行して行われた.
 私が興味深いと感じた研究は,「Bendable Electro-Acoustic Transducer Fabricated Utilizing Frequency Dispersion of Elastic Modulus」というタイトルの論文である.30インチの4Kフレキシブル有機ELディスプレイの背面に柔軟性のあるエキサイター(B.E.A.T)を用いることによりディスプレイから音を出す技術である.ディスプレイから音が出るため,映画館のような没入感を演出することができる.この論文では粘弾性ポリマーを基盤とする0-3型圧電複合材料を用いた曲げられる電気音響変換器を開発していた.10Hz以下での変形に対してクラックや剥離を防ぐことができる一方で,可聴域では粘弾性ポリマーを基盤としたものが十分な弾性を持ち圧電振動エネルギーを伝えることができる.実際にI-Demoと呼ばれているデモセッションにて体験したところ,画面のあらゆる場所から音が発生しているため,一般的なテレビでは味わえないような臨場感を得た.この技術は軽量性や柔軟性を損なわずにフレキシブルディスプレイとの一体化が期待され,持ち運び可能でどこでも没入感の得られる音響デバイスとしての応用が期待される.
 私は14日のポスターセッションにて書き割り効果の低減方法に関する発表を行った.初めて対面の国際会議での発表もあり,自身の英語力に課題が残ることとなったが,多方面の方々より様々な意見を頂き得られるものも多かった.ディスプレイ関連の最先端を知ることができ有意義な経験となったと感じている.
 IDW‘23は,2023年12月6日から8日にかけて新潟で開催される.3DSA2023も同時に開催されるため,立体映像の研究者には最新技術を発表・聴講できるいいチャンスになりそうである.
公式サイト:https://www.idw.or.jp/

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