星 裕也（東北大学）

　12月14日から16日にかけて，千葉県の幕張メッセにて計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会（SICE SI2022，以下SI）が開催された．SIは「人間・社会・人工物が関わる様々な分野における俯瞰的システムインテグレーション」をテーマとしている学会であるため，発表項目は多岐に渡る．今回は62に及ぶOSで計839件の講演発表が行われ，学会参加者は1200人を超えた．
　SIでの発表形式は口頭発表とポスター発表に別れるが，多くはポスター発表であった．例年ポスターセッションの前に，各発表者に3分程度のショートプレゼンの機会を与えられていたが，今回はWEB概要集に動画・画像を掲載することでその代わりとしていた．
　筆者は触覚・力覚（3）のセッションにて，ボイスコイル型振動子の駆動特性を利用して任意の音響信号の低周波成分を高周波の信号で代理提示する手法について発表した．発表を通じて，様々な分野の研究者から多角的な視点で質問・アドバイスを頂き，自身では気づけなかった本研究の可能性や課題を発見することができた．分野の異なる研究者とも活発に議論をすることができるのはSIならではの特徴なのではないだろうか．
　特別講演では東京理科大学学長の石川正俊氏が「システムインテグレーションにおける独創性の発現」と題して講演された．企業・大学が深く交わるSIのコミュニティにおいて，真に創造的な独創性をつくるための在り方や思考法について，自身の研究遍歴を交えて講演された．非常に示唆に富んだ内容であり，講演後も質疑を通して活発に議論がされていた．
　来年のSICE SIは新潟県朱鷺メッセにて2023年12月14日から16日にかけて開催予定である．
公式サイト：https://sice-si.org/si2022/index.php