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2022年8月25日

3次元画像コンファレンス

亀山 将誠(大阪工業大学)
 3次元画像コンファレンス2022が,7月15日(金)から16日(土)の2日間にかけて長崎大学文教キャンパスにおいて開催された.本大会は1993年に発足し,今回は第30回目の記念となる大会であった.一般講演(口頭発表やポスター発表)の他に,これまでの30年を振り返る特別企画のパネルディスカッションや招待講演,企業の技術開発を紹介いただく企業セッションなどが実施された.今回は,現地とオンラインの併設で開催され,100名を超える参加者がありたいへん盛況であった.
 一般講演は37件(口頭発表24件,ポスター発表13件)あり,そのうちホログラムに関する報告が15件と多く,電子ホログラフィやCGHに関する研究が活発であることがうかがえた.また,会場の入口付近には,関西大学によるコンピュータホログラムの展示コーナーが設けられ,研究発表に関連したCGHなどを見学できた.筆者も高精細なCGHを見るのは初めてであり,奥行きが深くきれいなホログラムが表示されていた.ホログラフィ関連で私が注目したのは,北海道大学による“瞳検出による選択的複数光源を用いた電子ホログラムの視域拡大”の発表であった.観察者の瞳の位置を検出し,複数ある再生照明用LED光源を選択的に使用することで,高いリフレッシュレートの空間光変調素子を用いることなく視域拡大を実現していた.視域が広い電子ホログラフィが実現できれば,医療や建築,オンライン会議など様々な分野に応用できると思った.
 ライトフィールド関連では,レンズアレイを用いたインテグラル3Dや複数のLCDパネルを積層して光線再生する積層型3Dディスプレイなどについて5件の研究発表があった.今回の私の発表は,リアルタイムのインテグラル3D撮影と表示に関する内容であった.撮影対象物の空中像を形成し,その位置にレンズアレイを用いて光線を撮影する方法を提案した.シンプルな構成で比較的広い角度範囲の光線が取得でき,さらに撮影映像をそのままインテグラル3Dディスプレイに表示することでリアルタイムの3D撮影と表示を実現した.発表終了後,研究内容の詳細についての質問や実際に見てみたいなどのコメントをいただき興味を持っていただいた.
 招待講演では「世界遺産と3D映像」と題して,長崎大学の金谷一朗先生よりご講演をいただいた.世界遺産であるピラミッドの3次元形状測定の様子などをご紹介いただき,人手による測定作業がいかに大変であるかを理解できた.
 30回目の大会を記念して,第1回の実行委員長である本田捷夫先生(千葉大学名誉教授)の特別講演があり,大会発足時の経緯や今後の3次元画像の応用展開についてお話をいただいた.また,パネルディスカッション「3次元画像コンファレンス30年を振り返る」では,この30年間の3次元画像技術の進展を知ることができた.
 今回,2019年大会以来の現地開催の大会となり,特にデモ展示を交えたポスター発表では活気あるディスカッションが実施された.私も本大会に参加することで,多くの研究者の方と直接対話する機会に恵まれて人脈を広げることができたとともに,様々な研究発表や講演を聴講できてたいへん有意義であった.

公式サイト:http://www.3d-conf.org/

Category: 学会参加報告