第193回HCI・第60回EC合同研究発表会
濱田健夫(東京大学)
情報処理学会の第193回HCI・第60回EC合同研究発表会は,2021年6月1日から2日にかけて開催された.例年多くの関連学会と共同運営がなされ,多様な観点からフィードバックを得られる特徴がある.本年は情報処理学会の両研究会のほか,日本バーチャルリアリティ学会,ヒューマンインタフェース学会SIG-DeMO,映像情報メディア学会HI,電子情報通信学会MVEとの共催または連催であった.COVID-19感染拡大状況を踏まえ,昨年に引き続きオンライン開催となったが今回はその特性を利用し,Zoomでの研究発表と合わせてSlackを用いた質疑応答スペースを設けることで,議論の可視性向上と活発化が図られた.Slack上での議論の盛り上がりに特に貢献した者には,主幹事であるSIG-DeMOより賞(Most Discussed Presentation,Best Moriagest)が贈られた.
著者はEC研究会側の運営を兼ねて発表を聴講していたが,25件の発表のうち特に興味深かった,明治大学坪内氏らによる「仮想聴衆における聴衆規模に応じた適切なうなずき頻度生成のための予備調査」について紹介する.この研究では仮想聴衆によるうなずき動作の頻度に着目しており,多人数の仮想聴衆による適切なうなずき頻度を探るための調査を行った.先行研究による,うなずきタイミングの検出アルゴリズムを踏襲し,イラストで表現された仮想聴衆を用いた実験の結果,仮想聴衆の数が増えるほど「普段の講義のような」うなずき頻度は減ることを確認した.質疑では,仮想聴衆の中に混じった本物の受講生に対してポジティブな影響が出るか,といった本来想定されていた講師への影響とは異なる観点からの質問もあり,活発な議論がなされた.
本合同研究会は来年もほぼ同時期での開催が予定されている.
公式サイト:https://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/hci193ec60.html