CHI 2019 参加報告
豊田康平(東京大学)
2019年5月4日から9日までの6日間にわたり,イギリスのグラスゴーにてThe ACM CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI2019) が開催された(https://chi2019.acm.org/) .CHIはHuman Computer Interaction (HCI) 分野の国際的なトップカンファレンスの1つである.1982年より毎年開催されており,今年で38回目の開催となった.会期のうち初日,2日目にはワークショップが,3日
目から最終日にはCHIの本会議が行われた.
筆者自身は2日目に開催されたInternational Workshop on Human-Drone Interaction (iHDI) のポスターセッションに参加した.iHDIは人とドローンのインタラクションに関するワークショップであり,インターフェースに関する研究の他,ドローンを救助活動,スマートホーム,スポーツなど様々な分野に応用した研究も見られた.また,本ワークショップ内ではドローン研究の課題に関するグループワークも行われ,世界各地から集まった研究者たちによって活発な議論がなされた.更なる詳細はiHDIのホームページ(http://hdi.famnit.upr.si/)を参考にされたい.
今年は全トラックを通して4652の投稿があり,そのうち採択数は1298件であった.投稿数は昨年と比較して697件,18%の増量となっている.Paperに絞ってみると51ヶ国から2960件の投稿があり,そのうち703件が採択されている.投稿数は年々増加してきており,HCI分野の研究が益々盛んになっていることが窺える.会場では常に複数のセッションが設けられており,参加者達は自身の興味の元,各セッショ
ンに足を運んでいた.筆者の印象としては,機械学習に関するセッションが多くの参加者の注目を集めていたように感じた.機械学習関連技術の発展は近年めざましいものがあるが,HCI分野においてもその影響は大きいようである.今後とも目が
離せない領域であることは間違いないだろう.
また,CHI2019では石井裕教授がLifetime Research Awardを,五十嵐健夫教授がCHI AcademyをAwardとして受賞された.ご高名な研究者の方のご活躍を間近で拝見し,お話を伺うことができるのはトップカンファレンスに参加する大きな意義の1
つだろう.
次回は2020年4月25日から30日にかけて,アメリカのハワイにて開催される予定である.詳細は以下Webページを参照されたい(https://chi2020.acm.org/).また,少し先の話になるがCHI2021は日本の横浜で開催される予定になっている.日本のHCI研究が益々盛り上がっていくことが期待される.