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2018年11月26日

UIST 2018 参加報告

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◆UIST 2018
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佐々木 智也(東京大学)
 2018年10月14日から17日にかけて,第31回User Interface Software and Technology Symposium (UIST) がドイツ,ベルリンで開催された.口頭発表は2トラックの並行で,加えて,基調講演,デモセッション,ポスターセッションなどが行われた.
 本会議では,80件のテクニカルペーパー(採択率21.3%),44件のポスター,25件のデモンストレーションが採択された.テクニカルペーパーの中からbest paperが3件,honable mentionが4件選ばれた.特筆すべきは,採択ペーパーのキーワードについてで,Virtual Reality or Augmented Realityが29ともっとも多い結果となった.次いで,3D printing or Fablicationが9,Hapticsが8であった.
 筆者らは,Human-Robot Symbiosisセッションでの口頭発表とデモ発表を行った.このセッションでは,筆者らのロボットアームと足のマッピングによる制御の研究の他に,スマートフォンに取り付けたロボットフィンガーによるインタラクティブシステム,ヒューマンロボットインタラクションのためのデザイン手法の提案,複数の小さなドローンを用いたインターフェースの研究など,バラエティ豊かなテーマが並んだ.
 今回は,VRやハプティクス関連の存在感が大きかった.個別セッションだけでも,Controlling and Collaboration in VRやHaptics and VR, VR Interaction Techniques が設けられていた.セッション名が異なる場合でもVR関連は多く,例えば,Navigationセッションでは,HMDを用いてVR環境を利用する際に生じる空間的制約の課題や,複数ユーザー使用時の動作干渉の課題を扱うテーマが3件あった.他にも,VR空間を前提としたユーザーインターフェース技術の研究が多々見られた.
 基調講演は2件あり,1件目はMicrosoftのJaime Teevan氏による,マイクロプロダクティビティに関するもの,2件目は,インディアナ大学Selma Šabanović氏によるソーシャルロボットに関する講演であった.加えて,今年からVison Trackという,ディスカッションに重きを置いたセッションが設けられ,ジョージア工科大学Gregory Abowd氏,ニューヨーク大学Ken Perlin氏がそれぞれトークを行った.
 初日のオープニングレセプションは,Hasso Plattner Institute (HPI) で開催された.会場では施設のほぼ全てを使用し,HPIのこれまでの研究成果が10件以上デモ展示されていた.吹き抜けのホールには,ペットボトルを構造体の一部として用いた巨大なオブジェクトが設置され,とても印象的だった.
 筆者は本会議は初参加であったが,口頭発表もポスター発表も扱うトピックは様々であるが,どれも興味深い内容であった.参加者同士で積極的にディスカッションをしている様子がみられ,とても刺激的であった.
 次回のUIST2019は,アメリカ,ニューオーリンズで10月20日から23日に開催予定である.
https://uist.acm.org/uist2018/

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