WISS 2017 参加報告
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|◆ WISS 2017
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木村 直紀(東京大学)
2017年12月6日から8日にかけて山梨県北杜市八ヶ岳ロイヤルホテルにて,WISS
(Workshop on Interactive Systems and Software) 2017が開催された.WISSは
二泊三日の泊まり込み形式で,インタラクティブシステムにおける未来を切り拓く
ような新しいアイディア・技術を議論するワークショップである.本年度は学会イ
ベントのためにデザインされたチャットシステムである,「On-Air-Forum」が運用
され,発表と口頭質問だけでなく,チャット上でも活発な議論が行われていた.
最優秀論文賞として,池松氏らの「Ohmic-Touch: 静電容量方式タッチサーフェ
ス上におけるオブジェクトを介したインタラクション手法」が選ばれた.この研究
では静電容量方式のトラックパッド上で,厚みの異なる絶縁体や外部抵抗を組み合
わせて電荷移動をコントロールし、オブジェクトを介したインタラクションを実現
する.提案手法では,介在させるオブジェクトによって,厚み・タッチ位置・光・
圧力など様々なセンシングを可能にしていた. 池松氏らは発表賞も同時に受賞し,
ダブル受賞となった.
参加者の投票によって選ばれた対話発表賞として, 高橋らの「ブリッジ構造と
樹脂の引き伸ばしを用いた高密度な毛構造の造形手法」が選ばれた.提案手法では
熱溶解積層方式の3Dプリンタを使用し,細く引き伸ばした樹脂を橋渡しするように
壁面に固定することで,細く高密度な毛構造を安定して出力できる.
プログラム委員によって選ばれた対話発表賞としては,尾崎氏らの「実世界人形
遊びを拡張する仮想ドールハウス」と,東氏らの「エッジ情報の多いコンテンツに
対する自然な視線誘導の提案」が共に選ばれた.
前者はドールハウス遊びの可能性を拡張するため,人形をCG世界に出し入れする
インターフェース ”GetToyIn” を実装したドールハウスである.ディスプレイ脇に
設置された自動扉付きの箱を経由し実人形をCG世界に出し入れする機構を備えてお
り, 実世界と仮想世界の人形の同一性がうまく表現されていた.
後者は,webやデジタル・サイネージに表示されるコンテンツを効果的に印象付
ける工夫の一つである視線誘導について, 可読性が失われるぼかしや不快な印象を
与える可能性のあるアニメーション・ハイライトを用いることなく, より自然な視
線誘導手法を提案していた.
プログラム委員によって選ばれた表紙デザイン賞としては, 幸野氏が選ばれた.
招待講演として二日目に,「1年で量産機を開発し,世界各国で売るためにはど
うする?」と題して株式会社Cerevo CEO 岩佐琢磨氏から講演が行われた.アイデ
アを製品化・量産化する際に向き合うことになる困難と,それを乗り越えるための
ヒントが参加者に与えられた.
次回のWISSは2018年9月末と例年より早い開催が予定されている.
http://www.wiss.org/WISS2017/