ACE 2016 参加報告
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|◆ ACE 2016 参加報告
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青山 和馬(大阪大)
2016年11月9日から12日にかけて,日本の大阪府においてACE2016(Advances in C
omputer Entertainment Technology)が開催された.ACE2016の会場は中央電気倶楽
部であった.当会場は1930年に建てられたものであり,歴史の重みを感じるスペイ
ン風の煉瓦造りの概観に加えて,内部も大正から昭和にかけてのモダンな作りとな
っており,レトロな雰囲気の中での会議となった.
この学会は4日間に渡って開催されており,初日はワークショップ,二日目にはI
nvited Talk, Paper Session,Poster Sessionが行われ,夜には懇親会が開催され
た.最終日は日本国内向けの学会であるEC2016(Entertainment Computing) との共
催でCreative Showcaseが開催された.二日目のInvited Talkでは,AISTのMasata
ka Goto氏による最先端のmusic technologyについての講演が行われた.Goto氏の
講演は VOCALOIDを中心とした音楽や,歌ってみた,踊ってみた等のYoutubeやニコ
ニコ動画にアップロードされているコンテンツを自動的に解析し,コンテンツ同士
の繋がりを可視化する事等ができるSongliumや,音楽に合わせて歌詞が動く,歌詞
アニメーションを手軽に製作できるTextAliveといった音楽をより楽しむための支
援サービスの紹介とそれらが社会に与える影響など世界のエンタテイメントの最先
端を議論するACEに相応しい,大変興味深い講演であった.
ACE2016ではGold Paper AwardやSilver Paper Award等の5つの賞が準備されてお
り,特にBest Showcase Awardを受賞したNaoya Koizumi氏の展示である,Passive
Midair Displayは,ハーフミラーと映像提示部のみで構成され,観察者が持ってい
る光源でディスプレイを照らす事で空中に像が見えるというものであった.この展
示では特段新しい技術が使われているわけではないが,体験者に光源を持たせacti
veにディスプレイを見るように仕向けるという体験のデザインが非常に素晴らしい
ものであった.
ACE2016ではシングルセッションで行われており,参加者全員が一つのホールに
集まってPaper SessionやInvited Talkを聴講していた.このため,パラレルセッ
ションで会議が進行していく学会のように,セッション中に会場を抜け出して別
のセッションで行われている口頭発表を聴講しに行く必要もなく,ゆったりと発表
を聞くことができる学会であった.
次回のACE2017はセルビアのニコラ・テスラミュージアムにて開催される予定で
ある.
http://mixedrealitylab.org/ace2016/