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2016年4月25日

IEEE VR 2016 参加報告

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|◆ IEEE VR 2016 参加報告
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山本 豪志朗(京都大学)

 IEEE VR 2016は,2016年3月19日から23日の五日間,米国サウスカロライナ州グ
リーンビルにて開催された.日本からは遠い地であったが,現地空港から会場とな
ったホテルまでのアクセスはよく,また穏やかな気候で全体を通して心地よく過ご
せた.例年同様,前半二日間にワークショップ(8件)やチュートリアル(6件),
ドクトラルコンソーシアムおよび併催国際会議IEEE 3DUI,後半三日間に本会議と
いう構成であり,約500名の参加者で盛況に催された.本会議では,2件の基調講
演,4件のパネル討論,四つの論文発表セッション,84件のポスター発表,そして
17件のデモ発表が行われた.
 一昨年や昨年は,ロングペーパとして採択された論文はIEEE TVCG
Transactions on Visualization and Computer Graphicsに直接採録された
が,今年はその方式から変更された.ショートペーパというカテゴリを無くし,4
~10ページで投稿された論文は,査読を経てTVCG論文もしくは会議論文という枠で
採択されるという方式が新たに採用された.IEEE VR 2016では135本の論文投稿が
あり,採択論文はTVCG論文として17件(12.6%),会議論文として16件(11.9%)と
いう結果であった.加えて,これまでにTVCGに採択された論文6件,今年はさらに
CG & AComputer Graphics and Applicationsに採択された論文2件の発表もプ
ログラムに組み込まれた.
 賞は論文発表ポスター発表およびデモ発表に対してBest Paper Award
Best Poster AwardBest Research Demo Award各1件またHonorable Mentionも
各1件選ばれた.Best Paper Award にはPeter Lincoln氏University of North
Carolina)のディスプレイ遅延の低減化に関する研究が選ばれた.光学シースルー
ヘッドマウントディスプレイを装着し,拡張現実感を体験している際,現状のディ
スプレイでは頭部を動かすと表示遅延によって実空間と仮想空間の間に必ずズレが
生じてしまう.この研究ではその遅延を80μsに抑えることに成功したとの報告が
なされた.またVR Technical Achievement AwardにはAnthony Steed氏UCL
VR Career Award にはTom Furness氏University of Washintonが選ばれた.
 基調講演の一つKeynoteにはMing C. Lin氏University of North
Carolina / Tsinghua Universityが招かれLin氏はVirtual Reality 環境での
音の重要性について言及するとともに,様々な物体が存在する複雑なVR空間や
音源やユーザの立ち位置で変化する音の生成について紹介した.今後の研究として
マルチモーダルインタラクションの方向性についても示唆していた.もう一つの
基調講演(Capstone Presentation)では,Timothy Bickmore氏(Northeastern
University)が招かれ,医療現場での対面コミュニケーションとしてVR技術を用い
た取り組みについての紹介があった.
 その他のアクティビティとして,一日目の晩にClemson Universityに出向き,建
設されたばかりの建物にて研究デモ紹介が行われた.また,二日目の晩には,会場
であるホテルにてバンケットが行われた.
 IEEE VR 2017は米国内で東から西へと移り,カリフォルニア州ロサンゼルスにて
開催される.
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