エンタテインメントコンピューティング2015 参加報告
+———————————————————————-+
|◆ エンタテインメントコンピューティング2015 参加報告
+———————————————————————-+
湯村翼(北陸先端科学技術大学院大学)
エンタテインメントコンピューティング2015が2015年9月25日?27日の3日間,札幌市教育文化会館および北海道大学学術交流会館にて開催された.今年は「ECどうでしょう」をテーマとして,口頭発表が98件,デモ発表が95件行われた.これは過去最多の投稿数であった.
私は「PICALA : プレゼンテーションにおける照明色による聴講者の感情共有システム」を口頭発表した.聴講者がwebブラウザ上の「へぇ?」「すごい」「笑」「?」のボタンを押すと会場の照明色がボタンに応じた色に変わり,感情を周囲に伝えられるというシステムである.セッションを通じてPICALAの運用も行った.このセッションは,対人コミュニケーションや日常生活における消極性を扱うワーキンググループSIGSHYが企画したオーガナイズドセッションであり,消極性に関する研究が集められた.同セッションで発表された栗原一貴氏の「Toolification of Games : 既存ゲームの余剰自由度の中で非ゲーム的目的を達成するゲーミフィケーションの考察」では,3次元テトリスを用いた3Dモデラの開発をきっかけとしたゲームに関する考察をまとめ,論文賞を受賞した.
デモセッションでは、多様な内容のエンタテインメントコンピューティング研究が発表された.星貴之氏は,自身の開発した装置で物体を浮揚させる「DIY音響浮揚装置を作ってみた(第2報)」のデモを展示した.小坂崇之氏は,咀嚼回数の増加を目的とした対戦型ゲーム「咀嚼タン:咀嚼をトリガーに設定したシリアスゲームの開発」を披露し,デモ賞を受賞した.
最終日には2件の招待講演が行われた.招待講演1は,ソルトレイクシティ・トリノ・ソチ五輪女子カーリング日本代表の船山弓枝氏らによるカーリングパネルセッション.講演前にはカーリングに関する4件のデモ展示も実施され,北海道らしいセッションであった.招待講演2は,人気テレビ番組水曜どうでしょうでお馴染みの北海道テレビ放送 藤村忠寿氏による講演であった.プログラムの発表タイトルを読み上げ気になる研究に鋭いツッコミを入れるなど,終始大盛り上がりの講演であった.
簗瀬洋平氏らによるオーガナイズドゲームも,昨年に引き続き開催された.webとスマートフォンを活用したRPGのようなシステムで,参加者同士でパーティを組む必要があるため初対面の人との会話が自然に促された.最終日のポストモーテムにて最終決戦が行われ、参加者全員で力を合わせて魔王MYSTを倒したときは会場が興奮と感動に包まれた.
次回は, 2016年11月に大阪にて開催予定である.同じエンタテインメントコンピューティング分野の国際会議であるACE(Advances in Computer Entertainment)が大阪での同時期開催となり,共催セッションの企画も進められている.日本と世界のエンタテインメントコンピューティングが交わる素晴らしい機会となることが期待され,今からとても楽しみである.
http://ec2015.entcomp.org/