CHI 2015 参加報告
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|◆ CHI 2015 参加報告
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川口 一画(筑波大学)
2015年4月18日から4月23日の6日間にわたり,韓国・ソウルにおいてThe ACM CHI
on Human Factors in Computing System 2015(以下CHI)が開催された.本会議は
1982年より毎年開催されており,今年で33回目となるHCI分野におけるトップカン
ファレンスの一つであり,毎年数千人という参加者が集まる.
開催地であるソウルは,人口1000万人を超す韓国最大の都市であり,非常に活気
のある街であった.会場となったCOEXは,展示場やホテル,商業モールなどが一体
化した広大な複合型施設であり,施設内は会議の参加者だけでなく,現地の若者や
観光客で常に賑わっていた.
会期の初日・2日目には各種ワークショップやシンポジウムが行われた.今年は
長いCHIの歴史の中で初めてアジア圏での開催となったこともあり,アジアのHCIコ
ミュニティの活性化を目的としたAsian CHI Symposiaが開催された.その中で,日
本の参加者を対象としたシンポジウム(4/18: Emerging Japanese HCI Research
Collection, 4/19: Japanese Culture and Kansei)も開催された.それぞれのシン
ポジウムは,研究内容に関する発表とシンポジウムのテーマに関するグループワー
ク(将来のCHIに関する議論や,日本固有の感性表現”Kawaii”についての議論)から
構成され,両日とも活発な議論がなされていた.
本会議は20日からの4日間の日程で行われた.今回の投稿総数は2150件以上に上
り,採択率は23%とのことであった(Paper/Note含む).発表件数が非常に多く,最
大15のパラレルセッションで開催された.ここでは,発表の中で興味深かったもの
を2点紹介する.bioLogic: Natto Cells as Nanoactuators for Shape Changing
Interfaces(Honorable award) MIT石井裕教授らによる,納豆菌を用いた微小アク
チュエータに関する研究.湿度によって動作する特性を活かして,アクチュエータ
もしくはセンサとして利用する.Can You See Me Now? How Field of View
Affects Collaboration in Robotic Telepresence テレプレゼンスロボットの操
作者側のインタフェースにおいて,ディスプレイに表示する映像の視野角を45°,
180°, 360°の3条件として比較を行った.その結果,広視野角の条件ほどタスクの
能率等が高まることが示されたが,操作方法については課題が見られた.なお,誌
面の関係上詳細は割愛するが,近年世界的に注目されているWearable deviceや
Personal fabrication に関連する研究も多く見られたことが印象的であった.
筆者は21日のセッションにおいて口頭発表を行った.初めての海外発表であった
こともあり,英語力の不足等反省する点が多くあったが,うまく情報を伝えるため
の資料・発表内容について考え直すきっかけとなり,多くのものを得られた発表と
なった.
21日の夜にはJAPAN NIGHTが開催され,HCIの分野で活躍する先生方や企業の方,
他大学の学生と交流することが出来た.筆者は今回初めての参加であったが,専門
分野の近い多くの研究者と知り合えたことは大きな収穫であった.
次回CHI2016は2016年5月7日~12日の期間にアメリカ・サンノゼで開催予定である.
http://chi2016.acm.org/wp/
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