Laval Virtual 2015 参加報告
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|◆ Laval Virtual 2015 参加報告
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西田 惇,髙鳥 光,佐藤 綱祐(筑波大学)
今年4月8日から12日にかけて,フランス西部の都市Lavalにて,VRやARの先端技
術やインタラクティブメディア作品をデモ展示するヨーロッパ最大のイベント
Laval Virtual 2015が開催された.
本イベントはVRに関する国際学会「VRIC」と,公募作品のデモ展示を行う
「ReVolution」,加えて多数の企業展示からなり,期間中はメディア向け・一般公
開日を合わせて計15,000人の来場があった.同じく開催されたインタラクティブメ
ディア作品の国際コンペティション「Laval Virtual Awards」では,東京大学 落
合陽一氏らの「Fairly Lights」がINDUSTRIAL DESIGN & SIMULATION部門賞に,神
奈川工科大学 白井研究室の「ExPixel」がBUSINESS, COMMUNICATION & SERVICES部
門賞に,東京工科大学 安本匡佑氏の「VISTouch」がINTERFACE & MULTIPURPOSE
EQUIPMENT部門賞に,筆者らの「CHILDHOOD」がLEARNING, SCIENCES & HUMANITIES
部門賞に選ばれ,昨年に引き続き日本からの積極的な参加が認められた.
また,高層ビル群の間を鳥のように飛翔する体験を再現するチューリッヒ芸術大
学の「Birdly」がSIGGRAPH 2014からの招待作品として出展し,HMDと体性感覚提示
機構から得られる高い没入感とコンテンツのゲーム性から順番を待つ来場者が長蛇
の列をなした.
筆者らは,頭部運動を保存しつつ視線位置を子供の目線位置に変換する装着型デ
バイスと,子供の把持動作を受動機構により再現する手指外骨格を用いて本質的に
小児の身体性を再現する身体性変換スーツ「CHILDHOOD」を招待作品として
ReVolutionに出展し,同時にVRICとAwardsに投稿した.
テレビ放映や日刊紙掲載もあり期間中ブースにはおよそ2,000人が訪れ,日本か
ら持ち込んだスペア部品を全て使いつつも老若男女問わず多くの人に体験していた
だいた.五感を通したインタラクティブ作品は異なる文化圏であっても多くの驚き
と新しい発見を提供できるものであることを改めて実感した.このようにLaval
Virtualでは研究者・企業関係者のみならず多くの一般来場者による体験の機会が
提供される.これにより「期待すべきユーザエクスペリエンスは実現されているか
」,「体験を構成するユーザインタラクションは自然か」,「そのインタラクショ
ンを導くユーザインタフェースは適切か」,といった根源的な問いに対して多くの
フィードバックを得ることができる.Laval Virtualは作品における事象の本質的
再現性と五感を通した提示手法の妥当性を確かめることができる絶好の機会であり,
今後も日本から多くの投稿がなされることを期待したい.最後に招待作品として出
展するあたりご支援をいただいたIVRCとLaval Virtualの関係者の皆様に謝意を表
したい.
http://www.laval-virtual.org/en/
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