SIGGRAPH Asia2013 参加報告
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|◆ SIGGRAPH Asia2013 参加報告
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大野良介(大阪大学)
2013年11月19日から22日にかけて,Hong Kong Convention and Exhibition
CenterでACM SIGGRAPH Asia 2013が開催された.SIGGRAPH(Special Interst
Group on Computer GRAPHics)は,1974年の第1回会議から毎年夏にアメリカで開
催されている世界最大のコンピュータ・グラフィクスとインタラクティブ技術に関
する学会・展示会であり,そのアジア版であるSIGGRAPH Asiaは今年で6回目の開催
となった.
SIGGRAPH Asiaでは,Technical PapersやTechnical Briefs,Posters,Courses
などに加え,展示会としてArt GalleryやEmerging Technologies,Exhibitionなど
魅力的なセッションが数多く行われた.講演者やボランティアを含む全ての参加者
は,これらのセッションで互いに議論を交わし,コンピュータ・グラフィクスに対
する理解を深めた.また,参加者のプロファイルに基づくビジュアルマッチングエ
ンジン,SA. Connectが今年度より新たに提供されることで,参加者同士の有益な
交友が促された.
今年のTechnical paperの採択率は,SIGGRAPHの平均採択率とほぼ同様の24.2 %
で,世界19カ国からの66本の論文が採択された.また,Technical Briefの採択率
は54.50 %で,アジアからの13本の論文を含む33本の論文が採択された.Technical
paperの発表者が持ち時間1分で概説を行うTechnical Papers Fast Forwardでは,
派手なデモビデオやコミカルなショートアニメなど,それぞれが様々な工夫を凝ら
して論文の要点を発表し,会場を沸かせた.複雑なレンダリング手法に関する数多
くの発表がある中で,写真から3Dモデルを簡単にモデリングする手法など,コン
ピュータ・グラフィクスの製作を簡単にするような論文が見受けられた.一般ユー
ザがコンピュータ・グラフィクスを見て楽しむだけではなく,生み出す側になる時
代を促しているように感じた.
SIGGRAPHの魅力のひとつである,Emerging Technologies(通称,E-Tech)で
は,12カ国から集まった40作品の応募から選ばれた,17品の最先端インタラクティ
ブ技術に関するデモ展示が行われた.E-Techでは75 %の展示がアジア勢のもので,
日本人も多く参加していた.全てのデモ展示の中から,プログラム委員会により選
考された1作品と,参加者により先行された1作品に,それぞれ賞が与えられる.前
者は,アニメやビデオゲームの中に登場するようなロボットの,視点や機械の軋む
音,関節の振動などをフィードバックさせ,ユーザにロボットになったかのような
感覚を体験させる” Jointonation: Robotization Of The Human Body By
Vibrotactile Feedback”が,後者は,Kinectから得られる骨格情報から,それと近
いポージング写真をデータベースから提供する” Data-Driven Suggestions For
Portrait Posing“がそれぞれ受賞した.
なお,2014年度の第7回SIGGRAPH Asiaは12月3日より中国で開催される.
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