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2025年6月25日

HCI・MVE・EC・VR・SIGDeMO・ITE連催研究会

根本健伍(芝浦工業大学)

 

 東京大学の山上会館にて、ヒューマンインタフェース学会 デバイスメディア指向ユーザインタフェース研究会(SIG-DeMO)、情報処理学会 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会、情報処理学会 エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会、映像情報メディア学会 ヒューマンインフォメーション(HI)研究会、電子情報通信学会 メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎(MVE)研究会の 5 つの研究会による合同研究発表会が、2025 年 6 月 18 日から 19 日の 2 日間にわたり開催された。参加者は 2 日間で 119 名、36 本の論文が 10 のセッションで対面発表された。朝の時間帯は参加者が少数であったが、昼にかけて徐々に増え、夕方になる頃にはほとんどの席が埋まるほどの賑わいとなった。セッションごとに進行役が異なり、各学会の担当者が務めていた。筆者は両日参加し、9 つのセッションを聴講した。複数の学会による合同発表であったため、ジャンルも多岐にわたっており、真新しい内容が多く、とても有意義な時間を過ごすことができた。
 議論に関しても、興味・関心から自然に生まれたものが多く、終始和やかな雰囲気で行われていた。中でも、九州大学の谷澤さんによる「バーチャルな翼の実現に向けた触覚の解釈性を有する身体拡張インタフェースの開発」の発表は、多くの関心を集めていた。この発表では、人間の体に翼を生やし、その所有感や自在感を検証した旨が述べられていた。中でも筆者が注目したのは、バーチャルな翼を再現するためのデバイスである。これは翼を模したこのデバイスは腹部に装着され、腹筋の筋電位差を利用して両翼を動かす仕組みになっている。また、バーチャル上の翼に触れることで触覚フィードバックも発生し、よりリアリティを高めるものとなっていた。腹筋を使用した理由については、ユーザーが自在に扱え、筋電位差が優位に取りやすい点にあると述べられていた。VR における身体拡張の分野に貢献する、非常に興味深い発表であった。
 筆者にとって今回が初めての学会参加であり、会場の雰囲気や発表の流れを把握する貴重な機会となった。発表者としてではなく聴衆としての参加であったが、論文を読むだけでは得られない、その場の熱意や研究者の思いが伝わってくる体験を通じて、多くの知見や刺激的な議論に触れることができ、大変有意義な時間となった。次回の開催について特にアナウンスはなかったが、来年度も今回のような意義のある発表会であることを期待したい。

Category: 学会参加報告