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2024年10月25日

Entertainment Computing 2024

吉本 健義(明治大学)  

2024年9月2日から9月4日の3日間にかけて,北海道情報大学(北海道江別市)にて EC2024(主催:情報処理学会 エンタテインメントコンピューティング研究会)が開催さ れた.本シンポジウムは,エンタテインメントコンピューティング(EC)のための新 技術,ECの新しい可能性,ECと人や社会とのかかわりなどをテーマとする学術会議と して2003年より毎年開催されており,本年で22回目の開催となる.北海道での開催は 9年ぶりであった.本年は開催直前に本州を台風が直撃し,北海道への移動が困難にな った参加者が一部発生したため,ハイブリッド形式での開催となった.具体的には, 現地参加が困難になった参加者に対してZoomを利用したオンライン参加の環境を提供 することで対応されていた.  参加者は計172人で,59件の一般口頭発表と96件のデモ発表が行われた.一般口頭発 表は3つのパラレルセッションに分かれて2日間にわたって開催された.聴講者からの研 究に関するフィードバックや質疑応答はScrapbox上で行われ,登壇発表内で対応できな かった情報の提供や質疑の補足を踏まえたさらなる議論が交わされていた.また,デモ 発表は口頭発表とは異なる時間帯にシングルセッションで2日間にわたって行われた. VR,BCI,UI・UX,ファブリケーション技術など,多様なECに関する技術が展示され, 大きな盛り上がりを見せた.去年より開始された特選セッションでは,12件中6件が採択 され,採択率は50%であった.また,特選セッションはより多くの参加者が聴講できるよ うシングルセッションとして3日間にわたって行われた.特選セッションで発表された多 くの研究ではデモ発表も併設され,Scrapboxと現地の両方において活発な議論が行われ ていた.特選セッションに採択された研究は社会実装やオープンソース化による実用化に 向けた取り組みが多く,非常に興味深いものばかりであった.  表彰は上述した発表から,特選セッション最優秀賞,特選セッション認定,一般セッシ ョン最優秀賞,レコメンデモ認定,対話発表賞,企業賞,ティザー優秀賞の7種類の賞が設 置されていた.我々の研究発表である「多視点からの見た目が変化する料理のための二次 元可食レンチキュラレンズデザインシステム」は,特選セッション最優秀賞,特選セッシ ョン認定,対話発表賞,ティザー優秀賞をいただいた.本研究では凸レンズを二次元平面 上に配置したレンズアレイ形状のゼリーを成形することで,視点によって見え方が変化す る食品「二次元可食レンチキュラレンズ」を実現している.我々はこの技術を分子ガスト ロノミーレストラン「élan vital」との共同研究を通じて開発し,実際の料理例と共に発表 を行った.  最後に,円滑な学会運営に携わった学会実行委員の方々,貴重なフィードバックをくだ さった参加者の皆様,そして本学会の運営に協力いただいたスポンサーの皆様をはじめと するすべての関係者に謝意を表したい.来年度は東京にて国際学会ICEC 2025との合同開 催でEC2025が開催される予定である.国内のコミュニティとしてだけでなく,国際的な 交流を交わしながら研究発表を行えることが期待される.

公式サイト:https://ec2024.entcomp.org/

Category: 学会参加報告