HOME » ニューズレター » VRSJ Newsletter – 2024年12月号 – ( Vol. 29, No. 12 )
2024年12月25日

VRSJ Newsletter – 2024年12月号 – ( Vol. 29, No. 12 )

日本バーチャルリアリティ学会 会員各位

Newsletter 2024年12月号をお届けいたします.

=========================================================================
日本バーチャルリアリティ学会
Newsletter – 2024年12月号 – ( Vol. 29, No. 12 )
=========================================================================
https://vrsj.org/
< 内容目次 >
1. 報告集
 ◆ UbiComp2024
  宮脇 輝(神戸大学)
 ◆ ISMAR 2024
  楠山 弘基(大阪大学)
 ◆ ISS2024 (Interactive Surfaces and Spaces)
  石田 瑞季(お茶の水女子大学)
2. 学会からのお知らせ
 ◆ 協賛行事のご案内
 ◆ 論文誌に関するご案内
3. 関連情報
 ◆ CALL FOR PAPER
 ◆ CALL FOR PARTICIPATION
 ◆ ニューズレター編集委員会からのお知らせ

————————————————————————-
1. 報告集
————————————————————————-
+———————————————————————+
◆ UbiComp2024
+———————————————————————+
宮脇 輝(神戸大学)
 2024年10月5日から9日にかけて,オーストラリアのメルボルンにてACM
International Join Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing
(UbiComp)とACM International Symposium on Wearable Computers(ISWC)が共
同で開催された.本会議は,ユビキタスコンピューティングおよびウェアラブルコ
ンピューティングの分野における,トップカンファレンスとして位置付けられてい
る.5日と6日はHASCAやOpenWearablesなどのワークショップが開催され,7日から9
日にかけて本会議が開催された.
 本会議では,論文誌IMWUTに採択された168件の論文がUbiCompにて発表され,
ISWCでは22件(Note 18件, Brief 4件)の発表が行われた.これらの発表は3つの
パラレルセッション形式で進められた.
 筆者が最も印象に残った研究は,Runze Liuらによる「SmartDampener: An Open
Source Platform for Sport Analytics in Tennis」である.この研究は,従来の
テニス用振動止めと同じ形状のデバイスを装着することで,ボールスピードやスト
ロークのタイプなど多様な指標を測定可能とするものである.筆者自身がテニスを
続けていることもあり,特に興味を引かれた研究であった.
 筆者自身はISWCのNote paper「Evaluation on Relationship between the
Useful Field of View and Presentation Method in Head-Mounted Display」につ
いて登壇発表を行った.本研究では,頭部装着型ディスプレイ(HMD)の装着や情
報提示が装着者の有効視野に与える影響を調査した.6分間の発表の後,3分間の質
疑応答の時間が設けられ,実験環境や有効視野の定義について意見交換を行った.
 来年のUbiComp/ISWCは,フィンランドのエスポーにて10月12日から16日の日程で
開催される予定である.

UbiComp/ISWC2024公式サイト: https://www.ubicomp.org/ubicomp-iswc-2024/

+———————————————————————+
◆ ISMAR 2024
+———————————————————————+
楠山 弘基(大阪大学)
 本年度のIEEE ISMAR (IEEE International Symposium on Mixed and Augmented
Reality) は,10月21日から25日にかけて米国シアトル近郊のベルビューで開催さ
れた(https://ieeeismar.org/).本会議はAR/MR分野のトップ国際会議であり,今
回で23度目の開催となる.本年も現地とオンラインでのハイブリッド開催であり,
初日は今回が初開催となるIEEE International Symposium on Emerging Metaverse
(ISEMV) と併催された.本年度の参加登録者数はISEMVと合わせて580名 (オンラ
イン含む) に上り,登録者の国別割合は上位から米(全体の4割),韓,独,日,中
の順であった.主な企画として,基調講演2件,論文発表188件 (内Journal paper
44件 [採択率16%],Conference paper 133件 [採択率30%],TVCG掲載済み11件),
パネルディスカッション1件,ポスター114件,ワークショップ11件,チュートリア
ル3件,デモ20件が実施された.
 基調講演には,Hrvoje Benko氏 (Meta Reality Labs Research) とMaud Marchal
氏 (University of Rennes, INSA) が招かれた.Benko氏は,AR技術とAI技術を組
み合わせた次世代の情報提示システムと人間がどのようにインタラクションするか
という観点で,Meta社の最新製品や動向を紹介した.Marchal氏は3Dインタラク
ションの中でも触覚技術に焦点を当て,近年の革新的な触覚インタフェースに対す
る知覚的考察を踏まえながら,今後の発展に向けた技術的課題を紹介した.またパ
ネルディスカッションでは,本分野の急速な技術革新や普及の裏で曖昧になりつつ
あるVR/AR/MR/XRといった用語の定義について,複数の専門家がその歴史的背景や
解釈の変遷を議論し,コミュニティ内での共通言語の確立を図った.このトピック
は多くの参加者の興味関心を惹き,多数の聴衆が参加する盛況なセッションとなっ
た.
 口頭発表では,AR/MR・触覚デバイス,Computer Visionに関連する技術的な内容
から,人間の知覚・アバタの身体性を考察するような実験的内容まで,多岐にわた
る研究が報告された.私事ではあるが,筆者もARディスプレイ技術に関するセッ
ションにおいて,遮蔽物による影と焦点ボケとを同時に抑制可能なプロジェクタに
ついて発表を行った.ここでは薄型で軽量な大開口フレネルレンズを用いて投影光
を広い角度から集めることで,一台のプロジェクタで影抑制を実現するアプローチ
を取った.またポスター・デモ会場では,発表者と参加者の間で活発な議論が交わ
され,賑わいを見せていた.特にデモ発表では産業界と学術界の研究者が入り混じ
り,双方の視点から研究開発に関する意見交換が行われた.
 Best Journal Paper Awardには,人間の動き予測において過去の姿勢情報のみで
なく,インタラクション対象である三次元物体のバウンディングボックス情報を利
用することで,予測精度を向上させる研究が選ばれた.また本年度はさらにBest
Student Journal Paper Awardとして,人間の視覚モデルをNeRFのレンダリングフ
レームワークに組み込むことで計算効率を向上させる研究が選ばれた.
 来年のIEEE ISMARは韓国・大田(テジョン)にて開催される予定である.
公式サイト:https://ieeeismar.org/

+———————————————————————+
◆ ISS 2024
+———————————————————————+
石田 瑞季(お茶の水女子大学)
 2024年10月27日から30日にかけて,カナダ・バンクーバーにてACM ISS 2024
(2024 ACM Interactive Surfaces and Spaces Conference)が開催された.本会
議は新しいインタラクティブサーフェスおよびインタラクティブスペースの設計か
ら仕様に関する国際会議である.今回は3件のKeynotes,29件の口頭発表(Full
Paper),11件のポスター発表,7件のデモ発表などが行われた.口頭発表は対面で
の発表に加えて,Zoomを用いたオンライン発表と,Discord上で発表動画を共有す
る非同期発表のトライブリッド形式で実施した.
 本年度の投稿数はFebruary Roundが51件,July Roundが69件であり,February
Roundでは11件(21.6%),July Roundでは18件(26.1%)がminor revisionを経て
採択された.なお,ISSではmajor revisionとなった論文を次の投稿回に招待する
形式を採用しており,本年度では18件(35.3%)がJuly Roundに,29件(42.0%)が
ISS 2025のFebruary Roundに招待された.
 Best PaperにはZengらの「GestureGPT: Toward Zero-Shot Free-Form Hand
Gesture Understanding with Large Language Model Agents」が選ばれた.これ
は,ジェスチャーと大規模言語モデルを組み合わせ,自由形式のジェスチャーの推
論が可能なフレームワークを提案した論文である.その他,Honorable Mentionが2
件,Best Posterが1件,Best Demoが1件表彰された.
 筆者は口頭発表とデモ発表の2つの発表を行った.口頭発表で研究の背景や事前
調査の結果を伝えた上で,デモ発表にて実際に提案システムを体験してもらうこと
で,より細部まで研究内容を伝えられたと感じた.新たな視点からの意見や,関連
研究を教えていただくなど,今後研究を深める上で貴重な経験となった.
 本年度は日本からの参加者がカナダ,アメリカに次いで3番目に多かった.来年
度の開催地は現時点では発表されていないが,来年度も日本からの参加者が多いこ
とを期待したい.

公式サイト:https://iss2024.acm.org/

————————————————————————-
2. 学会からのお知らせ
————————————————————————-
+———————————————————————+
|◆ 協賛行事のご案内
+———————————————————————+

■ インタラクション2025
会期:2025年3月2日(日)~4日(火)
場所:学術総合センター/一橋大学一橋講堂(東京)
https://www.interaction-ipsj.org/2025/

■ サービス学会第13回国内大会
会期:2025年3月4日(火)~6日(木)
場所:立命館大学 大阪いばらきキャンパス
http://ja.serviceology.org/events/domestic2025.html

■ 日本顔学会30周年記念シンポジウム
会期:2025年3月29日(土)
場所:早稲田大学 国際会議場 井深大記念ホール
https://www2.jface.jp/jface30/

■ 第64回日本生体医工学会大会
会期:2025年6月5日(木)~7日(土)
場所:フェニックス・プラザ (東京都)
https://smartconf.jp/content/jsmbe64/

+———————————————————————+
|◆ 論文誌に関するご案内
+———————————————————————+
■ 今後の特集予定 1 「神経インタフェース:測る・刺激する・活用する」
◆申込締切:2025年2月3日 (月)
◆論文締切:2025年2月17日 (月)
◆掲載予定: 第30巻3号 (2025年9月末発行)

■ 今後の特集予定 2 「アートエンタテインメント7」
◆申込締切:2025年5月5日 (月)
◆論文締切:2025年5月19日 (月)
◆掲載予定: 第30巻4号 (2025年12月末発行)

■ 今後の特集予定 3 「つなぐ技術(人・モノ・社会)4(仮)」
◆申込締切:2025年8月上旬
◆論文締切:2025年8月中旬
◆掲載予定: 第31巻1号 (2026年3月末発行)

————————————————————————-
3. 関連情報
————————————————————————-
+———————————————————————+
|◆ CALL FOR PAPER
+———————————————————————+
■ IEEE VR 2025
Date: March 8 – 12, 2025
Place: Saint-Malo, France
URL: https://ieeevr.org/2025/
Submission deadlines:
– Research Demos: January 13, 2025

■ Augmented Humans 2025
Date: March 16 – 20, 2025
Place: Abu Dhabi, United Arab Emirates
URL: https://augmented-humans.org/
Submission Deadlines:
– Full/Short Paper: January 16, 2025
– Special Fast track: January 27, 2025
– Poster/Demos/Workshop: February 13, 2025

■ ACM CHI 2025
Date: April 26 – May 1, 2025
Place: Yokohama, Japan
URL: https://chi2025.acm.org/
Submission deadlines:
– Late Breaking Work: January 23, 2025
– Interactivity: January 23, 2025

■ IEEE World Haptics Symposium 2025
Date: July 8 – 11, 2025
Place: Suwon City, Korea
URL: https://2025.worldhaptics.org/
Submission deadlines:
– Workshop Proposal (EOI): January 17, 2025
– Technical Paper Submission: January 31, 2025
– Work-In-Progress: April 24, 2025

■ ACM SIGGRAPH 2025
Date: August 10 – 14, 2025
Place: Vancouver, BC, Canada
URL: https://s2025.siggraph.org/
Submission deadlines:
– Technical Papers (Submissions Form & Confilicts): January 16, 2025
– Technical Papers (Paper Deadline): January 23, 2025
– Technical Papers (Upload Deadline): January 24, 2025
– Emerging Technologies: February 18, 2025
– Immersive Pavilion: Feruary 18, 2025
– Posters: To be announced

■ UIST 2025
Date: September 28 – October 1, 2025
Place: Busan, Korea
URL: https://uist.acm.org/2025/
Submission deadlines:
– Papers (Abstract): April 2, 2025
– Papers (PDF): April 9, 2025

+———————————————————————+
|◆ CALL FOR PARTICIPATION
+———————————————————————+
■ ACM TEI 2025
Date: March 4 – 7, 2025
Place: Bordeaux, France
URL: https://tei.acm.org/2025/

■ IEEE VR 2025
Date: March 8 – 12, 2025
Place: Saint-Malo, France
URL: https://ieeevr.org/2025/

+———————————————————————+
|◆ ニューズレター編集委員会からのお知らせ
+———————————————————————+
ニューズレター編集委員会では,「会議・イベント参加報告」「会員便り」「新製
品情報」を,広く会員の皆様から募集しております.
お問合せ・寄稿先:
日本バーチャルリアリティ学会事務局
office[at]vrsj.org
※ [at]を@に変換下さい.
————————————————————————-
[ニューズレター編集委員会]
<委員長> 半田拓也
<編集長> 藤本雄一郎・田辺健
<委 員> 藤田和之・ソンヨンア・磯山直也・平尾悠太朗・田井中渓志・脇坂崇平・
亀岡嵩幸・手嶋仁志・堀江新・青山一真・中村文彦・近藤亮太
<顧 問> 柳田康幸・武田博直
————————————————————————-
発行者: 半田拓也
編 集: ニューズレター編集委員会(編集担当:中村文彦)
発行日: 2024年12月25日
————————————————————————-