ISMAR 2023
大橋 夢叶(奈良先端科学技術大学院大学)
IEEE ISMAR 2023 (International Symposium on Mixed and Augmented Reality) は,10月16日から10月20日にかけて5日間開催された.ISMARはAR/MR分野のトップカンファレンスであり,今年で22回目の開催となる.コロナ収束以降のISMAR 2022から現地とオンラインでのハイブリッド開催となっており,本年度もオーストラリアのシドニーの現地会場とオンラインでの同様形式で開催された.ISMARへの参加登録者数は40カ国から573人(オンライン430名,現地143名)に上り,主な企画として,Keynotes3件,論文発表件(23セッション,内Journal Paper45件,Conference Paper128件),ポスター発表84件,ワークショップ10件,チュートリアル6件,デモ発表13件が実施された.
ワークショップとチュートリアルは一日目と五日目に開催され,それ以外の発表は二~四日目で行われた.Keynoteの3件のうち一つを紹介する.Gudrun Klinker氏による講演「Synergetic Effects between Mixed Reality and Games.」では近年のVirtual RealityやAugmented Realityに用いられる技術は飛躍的に進化してきている.それに伴い重要視されるユーザビリティやユーザ体験についての議論,ゲーミフィケーションについての議論を行われていた.
論文発表では各論文につき10分間の口頭発表のあと,合同の質疑応答時間が設けられており各セッションの時間短縮を図るとともに全体を通して単なる質疑応答ではなく知見を深めるためのディスカッションのような印象を受けた.
デモセッションはランチ会場の近くということもあり常に活気にあふれていた.参加者同士が関わりながら楽しむことができ,デモを通して様々な参加者と関わることができる場となっていた.
筆者が参加したポスターセッションではハイブリッド開催ということもありGatherと会場を組み合わせた発表となった.オンライン参加者はGatherから事前にアップロードされた動画とポスターを閲覧しSlackで質問を行う.会場は常に大勢の人でにぎわい有意義な議論を行うことができた.
本年度はJournal Paper部門で最優秀賞2件,Conference Paper部門で最優秀賞1件・優秀賞1件,Poster部門で最優秀賞1件・優秀賞1件,Demo部門で最優秀賞1件・優秀賞1件が表彰された.また,奈良先端科学技術大学院大学の加藤 博一教授は25年間にわたる拡張現実感に関する研究が多大な影響を与えたことが評価されISMAR 2023 Career Impact Awardを受賞された.
クロージングセッションではISMAR2024 (October 21-25, 2024) がアメリカのシアトルにて開催予定であることが発表された.
ISMAR 2023公式サイト:https://ismar23.org/