インタラクション2023
大津 耕陽(立命館大学)
情報処理学会の5研究会が主催するインタラクション2023が,2023年3月8日(水)〜
10日(金)にかけて開催された.本シンポジウムは1997年より毎年開催され,今年で
27回目の開催となる.2020~22年においては,COVID-19の感染拡大の影響によりオ
ンライン開催となったが,本年度は2019年まで会場として使用されていた東京・学
術総合センター内において4年ぶりの対面開催として実施された.参加者数は770人
であり,久しぶりの対面開催にも関わらず,多くの参加者に恵まれた開催となった.
本シンポジウムは,査読を経て採択された発表と,情報処理学会論文誌の特集号か
らの招待発表から構成される「登壇発表」,実機を用いながら発表を行う「インタ
ラクティブ発表(デモ)」,参加者同士の活発な議論を目的とした「インタラクテ
ィブ発表(ポスター)」から構成され,3日間にかけて行われた.登壇発表は25件,
インタラクティブ発表は224件(デモ:164件,ポスターは60件)の発表があり,デ
モ発表においては27件,ポスター発表においては8件がプレミアム発表として採択さ
れた.
登壇発表においては,東京都市大学の井出らの発表「3次元バーチャル空間におけ
るインフォーマルな会話の開始を促すためのゲイズキューの可視化手法」が論文賞
を受賞した.また,2件の発表が優秀賞を受賞している. インタラクティブ発表の
うち,7割以上の発表がデモ発表であることからもうかがい知れるように,本シンポ
ジウムでは開発システムの体験に重きが置かれている.インタフェース分野の学会
においては,デモ展示を主体としたものも多くあるが,中でもインタラクションは
最大級の規模を有している.インタラクティブ発表の前には,各発表者が30秒間で
発表概要を説明するセッションがあり,デモを体験する前に各発表の内容を知るこ
とができる.発表賞には,プレミアム発表を対象としたPC推薦の賞と,各日におけ
る参加者投票に基づく賞の2種類があり,それぞれ7件,9件の発表が選出された.
筆者らは昨年・本年とインタラクティブ発表(デモ)に参加している.昨年のイ
ンタラクティブ発表(デモ)はZoomを介したオンライン形式で実施されたため動画
を介した展示となり,参加者の体験の感想や意見を得られる機会に欠いていた.本
年は展示時間中途切れることなく多くの方にシステムを体験してもらい,意見交換
や交流ができる場が得られ,対面開催での学会の魅力を多く体感することができた.
活発な議論の場の準備にご尽力いただいた運営委員会の皆様方や,ブースにご来訪
いただいた皆様方にこの場を借りて深く感謝を申し上げたい.
来年の「インタラクション2024」は,東京・学術総合センター内一橋講堂におい
て,2024年3月6日(水)〜8日(金)の日程で行われる予定である.大会員長メッセージ
の中では,本年の投稿件数は過去最大級であることが紹介されていた.今後もイン
タラクティブな体験や議論の場として発展していくことを期待したい.