ヒューマンインタフェースシンポジウム2022
小山大嘉(東京大学)
ヒューマンインタフェースシンポジウム2022が,2022年8月31日(水)から9月2日(金)の3日間にかけて関西大学千里山キャンパスにて開催された.一昨年および昨年は新型コロナウイルスのためオンライン開催となっていたが, 本年は対面とオンラインを併用したハイブリッド形式での開催となった.本シンポジウムでは35件の討論発表と92件の対話発表(デモ発表28件とポスター発表64件)の他に5つのワークショップや5つの講習会,特別講演やソーシャルイベント,企業展示など様々な企画が実施された.300名を超える参加者があり3日間とも盛況であった.
対話発表は,はじめに一人30秒のショットガンセッションが行われ,その後90分の対話発表が行われた.これらは3日間を通して対面のみの実施であった.筆者は1日目にデモ対話発表を行った.慣れない点も多くあったが,実際にデモを体験した人から直接感想が聞けることはとても新鮮だった.想定していない質問や自分とは専門分野が違う方からの指摘なども多くあり90分の中でとても参考になる意見をたくさん頂いた.
討論発表は現地での発表がメインであったが,オンラインでの発表も数件あった.また,現地・オンラインでの聴講が可能であり,口頭やチャットでの質疑応答が行われた.
特別講演では「デジタルが拓く、ココロとからだとの新たな向き合い方」と題して,高知大学特任教授・(株)BiPSEE代表取締役である松村雅代先生よりご講演をいただいた.医療におけるデジタル技術の活用,従来のアプローチとは異なるVRを用いた治療法,メタバースと医療に対するこれからの展望などを心療内科医として臨床を担っているご自身の経験をもとに語られた.現在ご自身で開発を進めているVRを用いたうつ病の
デジタル療法などの話もあり非常に興味深い内容だった.
その他にも講習会やワークショップなどの専門外の技術や考えの伝授の場があったほか,ソーシャルイベントとして道頓堀をクルーズ船で回遊する「とんぼりリバークルーズ」が行われ,参加者同士の交流が見られた.
閉会式では3日間で行われた92件の対話発表の中から選ばれた優秀プレゼンテーション賞が発表された.参加者の投票による一般投票に3件,審査員選考に5件の発表が選ばれた.
本シンポジウムが筆者にとってはじめての現地学会参加であり,オンラインでの説明よりも,ポスターの前で著者から説明を受け実際にデモを体験する方が発表者,聴講者ともに質の良いものになると実感した.また発表以外の時間等で圧倒的にコミュニケーションを行いやすく,人脈が広がりモチベーションが向上しやすい場だと感じた.
ヒューマンインタフェースシンポジウム2023は2023年9月に青山学院大学相模原キャンパスで開催予定である.来年も現地開催であることを期待したい.