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2022年8月25日

EuroHaptics 2022

萩原 隆義(慶應義塾大学)
 2022年5月22日(日)から25日(水)の4日間にかけて,触覚とそのコンピュータアプ
リケーションに関するヨーロッパの国際会議であるEuroHaptics 2022が,ドイツの
ハンブルク工科大学にて現地開催された.
 論文採択率は,フルペーパー36件 (採択率55%,口頭プレゼンテーション19件,
テクニカルポスター17件),Work-in-Progressポスター51件 (採択率82%),現地体験
可能なデモンストレーション41件であった.この中から,Best Full Paper Award
2件,Best Work-in-Progress (WIP) Award 3件,Best Demo Award 3件,Industrial
Award 3件が投票により選出された.
 これらの論文発表およびデモは,会期の2日目から4日目まで行われた.また,初
日には4つのワークショップが行われた.これらのワークショップでは,若手研究
者たちがそれぞれの部屋に集まり,触覚に関する人間の生理的な反応といった基礎
的な内容から,触覚を用いたUI/UXデザインや人間とコンピュータとの相互作用,
さらにはアートに至るまで多岐に渡る議論が展開された.
 投稿された論文は,触覚に関する知覚やデバイス設計などが多く見られた.また,
VRにおける触覚フィードバックに関するものや,人-ロボット協調に関するものも
いくつか見られた.多くのデモが展示される中で,比較的大きく注目を集めており,
1st Best Demo Awardを受賞したAlexisらの「Huggiebot: a human-sized haptic
interface」を筆者も体験した.このデモでは,人型のロボットの前に体験者が立
ち,ある程度するとロボットが体験者を受け入れるように両手を開き,その後歩い
て近づきハグをするという流れで行われた.体験者のハグに応じてロボットもハグ
を行うだけでなく,やさしく叩く,なでるといった行動も記録された.ハグにはオ
キシトシンレベルを上げ,不安やストレスを軽減する効果があることがわかってお
り,COVID-19以降他人との接触がほとんど行われていない状況を受けての研究であ
ることが窺える.
 また,3日目に行われたKeynoteプレゼンテーションでは,UCLの認知神経科学者
である,Patrick Haggard氏が登壇した.触覚体験について,刺激に対する受容体
の活性化や,単一の受容体の反応を理解することによって,現実世界で起こりうる
複数の受容体への刺激による相互作用を解明するためのアプローチを示すといった,
認知神経科学の観点からのトークが行われた.
 筆者は3年ぶりの学会現地参加であり,対面で著者からポスターの説明を受ける
ことや,実際にデモに触れて体験するということの重要さをあらためて実感した.
EuroHapticsは,同じく触覚に関する多岐にわたる分野に焦点を当てている国際会
議であるIEEE World Hapticsと毎年交互に開催されており,来年のWorldHaptics
2023はオランダのデルフトで7月10日から14日まで開催される予定である.触覚に
関する研究は,実際に触れることで理解が深まることが多く,より活発な議論展開
を可能にするため,今後今回のように現地開催の学会が増えることを期待したい.

公式サイト:https://www.eurohaptics2022.org/

Category: 学会参加報告