ヒューマンインタフェースシンポジウム2019
船越南斗(筑波大学)
2019年9月2日から5日にかけて,同志社大学今出川校地にてヒューマンインタフェ
ースシンポジウム2019が開催された.本会議はヒューマンインタフェースに関する
工学,心理学および社会学をはじめとする多種多様な分野の会議であり,今回で20
周年となる本会議のテーマは,「さぁ、ワクワクしよう!」であった.今年は102件
の一般発表および71件の対話発表が行われ,参加者は500名を超えた.
1日目には講習会およびワークショップが開催された.2日目以降に行われた一般
発表ではインタフェースデザイン,VR・AR,医療および運転支援など多彩な研究領
域の発表が見られた.この中で,木下氏ら(山梨大学)による「形状変化可能なス
マートウォッチを想定した入力ジェスチャの設計」について紹介する.これは,形
状変化が可能な柔らかいスマートウォッチに対して有効な入力ジェスチャを調査し
た研究である.この研究にて著者らは,柔らかさが異なるモックアップを3種類用意
し,実験参加者に提示された操作(音楽再生アプリの再生や停止など)に対して最
適だと思うジェスチャを実行してもらい結果の考察をしていた.
2日目および3日目に行われた対話発表ではポスターによる発表とデモによる発表
が行われた.ここでは,ロボットやヘッドマウントディスプレイなどを使用して作
成したデモシステムを実際に体験することができ,多くの参加者で賑わっていた.
対話発表では優秀な発表に対する賞が設けられており,参加者による一般投票から
3件,プログラム委員会賞から2件の研究が受賞した.
一般発表だけでなく3日目には,特別公演が2つ行われた.1つ目の公演は,「弱い
ロボット×不便益×仕掛学」という題目で岡田氏(豊橋技術科学大学),松村氏(大
阪大学)および川上氏(京都大学)により行われた.この公演では,3名それぞれが
出版した本と研究内容の紹介が行われた.2つ目の公演は,「AI時代の人間の可能性
〜禅の修行からの考察〜」という題目で妙心寺退蔵院で副住職をされている松山大
耕氏により行われた.この公演では,AIをはじめとする技術が発展していく中,こ
れらの技術と人間との違いを禅修行を通して得られた知見を元に考察した内容が紹
介された.次回のヒューマンインタフェースは2020年9月2日から4日にグランシップ
(静岡県コンベンションアーツセンター)で開催される.
公式サイト:https://www.his.gr.jp/sympo/his2019.html