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2019年8月26日

第183回 ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(合同研究会)

横瀬 哲也(東京大学)

情報処理学会のHCI研究会が幹事の合同研究会が2019年6月10日と11日の2日間に渡って東京大学本郷キャンパスの山上会館にて開催された.本合同研究会は情報処理学会のHCI研究会・EC研究会のほか,電子情報通信学会のMVE研究会,日本バーチャルリアリティ学会,ヒューマンインタフェース学会のSIGDeMO,そして映像情報メディア学会のHI研究会による連催である.そのため,認識・デバイス系のものから教育・支援に至るまで,幅の広いテーマでの発表が見られた.発表件数は2日間で計21件であった.

本研究会での発表の中から,香川大学の泉亮祐氏らによる「逐次型観光を支援する観光支援システム『KadaSola/カダソーラ』の開発」について紹介する.この研究では事前に計画を立てることなく滞在地で訪問先を決定する逐次型観光のスタイルに着目し,このスタイルを取る観光者への情報提示手法としてゲーミフィケーションの考え方を取り入れたものを提案した.具体的には,目的地へのルートを直接表示せず,目的地への方角と距離を観光者に示すことで自由なルートでの散策を促し,観光者自身による発見をもたらすというものである.質疑においては,同じく香川大学による観光支援の先行研究との比較も交えつつ,観光地の提案手法に関する活発な議論がなされた.なお,この発表を行った泉氏はHCI研究会にて継続的な発表を行っており,昨年開催された合同研究会での発表に関して学生奨励賞を受賞した.

本合同研究会の特徴として,通常の30分間の発表枠のほかに15分間の萌芽発表枠が用意されており,今年は全発表のうち3件がこの枠によるものであった.その一つである工学院大学の牛田啓太氏らによる「弾き真似・吹き真似で演奏者気分を体験できるエア楽器演奏システムの検討」では,楽器演奏の知識を持たない人でも気軽に演奏者の気分になれるシステムについての発表がなされ,Kinectを用いたシステムを実装し体験してもらった映像が紹介された.体験者からは楽器経験の有無によって異なる感想が得られたとのことで,会場でもそれぞれの立場から様々な意見や改善案の提案がなされていた.

本合同研究会はすでに来年も開催されることが決定しており,2020年6月1日と2日の2日間に渡り,今年と同じく東京大学の山上会館での開催が予定されている.

公式サイト:http://www.sighci.jp/

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