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2016年11月26日

SUI 2016 参加報告

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|◆ SUI 2016 参加報告
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高嶋 和毅(東北大学)
 10月15日(土)から16日(日)にかけて,3次元ユーザインターフェースに関する
国際学会SUI (ACM Symposium on Spatial User Interface) 2016が東京一ツ橋ホ
ールにて開催された.著者は,本会議にはInternational Program Committee,
Publication Chair, そして現地での機器操作対応など,運営として多くの経験をし
たため,それらも含めて報告したい.
 SUIは今年で4回目と若い会議である.コミッティや集まる論文の多くはVRや
3DUIの領域からであり,シンプルで合理的なアイディアに基づくインタラクショ
ンテクニックの提案やその評価に関する議論が多い.これまでのSUIは,
SIGGGRAPHとUISTと連結して開催しており,今年は東京開催のUIST2016の
直前に同一会場にて開催となった.UISTと連続で参加する参加者が多いことは予
想できたが,SUIのみの参加者や国内外から当日レジストレーションも意外に多く,
結局120人越えの参加者となり会議は盛り上がり,運営側としても参加者としても
大変うれしかった.
 本年は,SUI発足以来,最も多い77件の投稿があり,査読を経て,フル・ショー
トペーパーが20件(採択率26%),デモが5件,ポスターが26件採択された.今
年はACM VRSTと投稿締切が非常に近く,十分な投稿があるか少し心配されたが,
東京開催ということで珍しさもあったのか質の高い発表が揃った.日本からの発表
も数件あったが,アジア,欧州,北米など世界各国から発表がバランスよく集まっ
ていた.その中で,べストペーパーに選ばれたのはLubosらのTouching the Sphere:
Leveraging Joint-Centered Kinespheres for Spatial User Interactionという論文
であった.これはmid-airインタフェースの課題である不快感や疲労を軽減するた
め,手首,肘,肩といった関節を中心として手や腕を動かすインタラクション手法
を提案するものであった.研究の動機や詳細な実験計画に至るまで,ジェスチャイ
ンタラクション研究に携わるものとして学ぶことが多い見事な論文であった.
 キーノートはperceptiveIO, IncのShahram Izadi氏 (最近までMicrosoft
Research)によるThe reality of mixed realityであったが,様々な事情でIzadi氏
は来日できず,急遽Double Robotによる遠隔会議システムを活用しての講演とな
った.講演内容は,SF映画のスターウォーズの世界観を参考にしながら,Izadi氏
らが開発してきたHoloLensを利用した未来の遠隔地間臨場感コミュニケーション
技術が紹介されていった.スカイプ等の口頭発表はたまに見かけるが,会議で一件
しかないキーノートでの遠隔講演は残念であったものの,講演は素晴らしく,その
経緯や発表方法も含めて強く印象に残った.パネルでは,Microsoft Researchの
Hrvoje Benko氏,ETH ZurichのOtmar Hilliges氏,GoogleのAlex Olwal氏,
バンダイナムコの原田 勝弘氏によるそれぞれの講演と未来のVRについてパネル
議論が行われた.なお,原田氏の講演は日本語であり通訳を介しているという珍し
いものであった.それぞれのスピーカーの背景から様々な意見があったが,我々が
見ている世界は大部分がmemoryであり,よりよいVRのためには知覚特性をcheat
すべきであるといった学術的な視点や原田氏が提供した現場の意見や開発経験等に
関するやり取りもあり,よい意味で発散的で,そしてゲーム等のアウトプットも意
識できた大変興味深いパネル議論であった.
 その他,会議では,General ChairのChristian Sandor 氏(NAIST)が中心になっ
て日本文化を示す工夫が凝らされていた.レジストレーションにて,SUIのロゴ入
りの1合木枡の配布するところから始まり,ポスター発表中に墨絵のライブパフォ
ーマンスと日本酒による乾杯,そして東京湾を御座船でクルーズしながらの懇親会
(舞踏等あり)など多くのアトラクションがあった.海外からの参加者からはいず
れも評判がよかった.運営側としては参加してくださった方々に深く感謝したい.
そして,参加者としては,Christianと日本陣営のインタフェースとなって活躍し
た山本豪志郎氏(京大)をはじめ,トラブル対応などをうまくこなして会議を成功
に導いた運営陣に感謝したい.
 来年のSUIは, 2017年10月16-17日に,ISS (Interactive Surface and Space)
の直前にBrighton UKにて開催される.

http://sui-symposium.org/

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